37 離れる前に
どうぞよろしくお願いします。
オーバが落ち着かないようで、もぞもぞし始めたので私はオーバのそばに行った。
オーバは立ち上がっていたが、私がそばに来たことで足踏みし出し、ぐるりと一周するかのように身体を回すようにして座りこんだ。
私はそのちょうど真ん中あたりに座って、オーバのお腹に背中を預けるように座った。
オーバの顔がこちらに寄ってきて、頬をぺろりと舐められた。
「いやはや、話は聞いていたが……。
あのフレイムドラゴンが、ここまで懐くとは……」
学校長の言葉にハーブが言った。
「ペスカと……、フレイだけですよ。
フレイは竜騎士だからわかるけど、なんでペスカも?」
「竜騎士のスキルと関係があるようなんだが、詳しいことは竜騎士しか知らないはずだ」
「フレイは知っている?」
「まだ、きちんとした説明は受けていないだろう」
ハーブと学校長がそんな話をしていた。
ああ、預かってる髪飾り、返さないと。
借金返すのに必要だろう。
おじいさんと竜騎士団長とフレイが戻ってきた。
竜騎士団の方から婚約についての訴えを出してもらえるそう。
過去にもこんなことがあったことがあるとか。
みんな、不安そうな顔をしている。
そうだよな。
誕生日迎えたとたんに、知らない約束が、契約があった、責任取れ! と来られるなんて恐ろしいもん。
私もちょっと不安になった。
今日はおじいさんもこのままここにいてくれるということで、私も含めてみんなで過ごす許可はもらえた。
明日からは私は別行動をすることが多くなる……。
3回目の演習のための授業の時に、私はオーバに会いに来ていいことになった。
その時はフレイは授業中でいないからね。
神寮のお茶会もうまく時間をずらして対応してくれるそう。
「良かった! 今年は裸踊り見てみたかったんだ!」
私の言葉に竜騎士団長が反応した。
「え、まだあれ、やっているのか!?」
ハーブとケビンが頷く。
「ええ、神寮の魂です。あの踊りは!!」
「お茶会の審査よりも大切な伝統です!!」
「はははっ!
それはそれはっ!
ああ、面白そうだな……。
私もお茶会に呼ばれたくなったよ」
「ぜひ来てください!」
ケビンがうれしそうに言った。
竜騎士団長が学校長を見る。
学校長は苦笑して言った。
「わかったよ。寮長に伝えておこう。
騎士団長と竜騎士団長が久しぶりに神寮の踊りを見たがっていると」
「あいつも一緒にか!?
あいつ神寮出身の団員連れて乗り込んできそうだぞ!」
「神寮はここ数年、あまり目立っていないからな。
魔神寮の魔法騎士や竜騎士が注目されて、神寮の騎士は控えめな感じでな。
騎士団長が来て活を入れてくれたら盛り上がるかもしれん」
ハーブとケビンが、顔を見合わせて頷いている。
エースやヨシュアもなんだか興奮して話をしている。
フレイが私の隣に身体をねじ込むように座ってきた。
「しばらく会えないけど……」
フレイがしょんぼりと言った。
「すぐだよ、1ヶ月なんて。
後で、髪飾り返すからね。
きちんと返品して、借金返す準備するんだよ……」
「なんだよ……、借金って……。
あ……。しばらく俺がいないところでオーバに会うんだよな……」
フレイが私の首の後ろを襟を引っ張り下げた。
えっ?
まさか、また噛むとか!?
「オーバ、隠せ」
オーバがフレイの言葉に尻尾と首で私達を包むようにする。
「えっ?」
「1カ月分」
「ちょっ!」
「声出すなよ」
「いっ! ……うっ、うう」
いたいいたいいたいっ!
でも、声出さないように私を捕まえているフレイの腕を逆につかみ返して耐えた。
歯を食いしばった状態で息を吐いて痛みを逃がし、涙が滲んだ。
フレイの口が離れた。
でも痛みはじんじん続いている……。
なんだよもう……。
オーバが覗き込んで確認しているようだ……。
もしかして……、この儀式……、学校を卒業するまでずっと続くのか!?
でも、オーバのためだ。
うん? 私が危ないからだっけ? なんだかよくわからなくなってきた……。
「ごめん……」
フレイが謝る声が後ろから聞こえた。
読んで下さり、ありがとうございます。
息子と私がなんか元気になりたい時「バエルだ! アグニカ・カイエルの魂!」と叫び、大笑いします。
親子でおバカですみません。
なのでなんとなく「魂」と言わせたかった。
リアクションや評価、ブックマーク、どうもありがとうございます。
いつも励まされています。
ゆっくりと話が進んでいますがこれからもどうぞよろしくお願いします。




