33 すでに婚約している
どうぞよろしくお願いします。
「噛みついたこととか気にしているんなら、もう気にしないで!
あれはドラゴンの間のことでしょ?
人間には関係ないし、傷は治るし、治癒魔法だってあるんだから!
責任とかそんなこともないよ。もう気にしないで!
それに……、前にも言ったけど、誰とも友人以外のお付き合いをするつもりはない……」
「……わかった。これは……、今じゃないということが」
フレイが私の手からそっと髪飾りの箱を受け取り、ポケットにしまった。
「ごめん……。
返事はできない……」
「でも、婚約して結婚したいっていうのは、一番に言えたよな」
「……先着順じゃないんだから」
「いや、ペスカ見ていると、先着順なんじゃないかと思うことけっこうあって……」
「うん、あんまり人の好き嫌いないし、そんなに大変なことじゃないなら、いいよって言っちゃうかな。
でも……、さすがにこれは返事できない」
「わかった」
私は頷いて立ち上がった。
「オーバのとこ行こう!」
竜舎に近づくとなんだかいつもより人影が多い!?
エースとマリアとユミエラ……、ハーブとケビン?
それに、キルシェと誰だ? 大人の人が何人かいる。
「村長?」
フレイが怪訝そうな表情で言って、はっとしてポケットから細長い箱をまた取り出すと私に押しつけてくる。
「ごめん、預かっておいて。なんかすっげー嫌な予感がする……」
私は頷いて受け取り、カバンの中、さらに大きなハンカチで包むようにし、その箱を隠すように入れた。
「……預かって、だとすんなり受け取ってくれるのな……」
何を言っているんだ!?
「困ってるんでしょ!? 預からない方が良かったってか!?」
2人で竜舎に近づくとキルシェが走ってきて私を突き飛ばすようにフレイの腕を取った。
「書類が揃ったの!」
フレイが声を掛けてくれる。
「ペスカ、大丈夫か!」
「うん、大丈夫」
なんとなく予想はついてたしね。転ぶまではしていない。
ヨシュアとマリアが来て私のそばにいてくれる。
茶色の髪の見かけないおじさんでなんか派手な服着ている人の前にキルシェがフレイを引きずるように近づく。
「ああ、フレッサ・ナーベイ君。昨日で13歳になったね。おめでとう!」
「お久しぶりです、村長。
ありがとうございます……」
キルシェのおとうさんだよな。ダン村の村長。
「君が13歳になったので約束だった契約が有効になった」
「約束? 契約?」
フレイが顔をしかめる。
キルシェが満面の笑顔で叫んだ。
「フレイとキルシェの婚約だよ!」
え……。
フレイ、もう婚約してんじゃん……。
先着順だったのはフレイの方だ。
しかも、もう予約済み。
「そんな約束……、知らないっ……」
フレイはかなり動揺して、キルシェから乱暴に腕を引き抜いた。
キルシェはよろけて、お父さんに抱き留められる。
「君が10歳の時、君のご両親と約束したんだ。
これより掛かる学校までの交通費と学校への準備の費用、すべてうちが持つ。
その代わり、フレッサ君はうちのキルシェの婿になることを」
「えっ、普通……、交通費は村が出すんじゃ?」
エースが言ってくれるが、村長は首を振った。
「ナーベイ家はかつて裕福だったが、今はあまりな……。
それでも過去のことがあるからだろう、村のみんなから徴収という手段を取りたくないと、借金を申し込んできたんだ、私にな。
なあに、村に戻ってこいとは言わん。
キルシェがスキル持ちとわかったので、わしらも王都に家を構える予定だ。
君は王都にいるキルシェの婿として、王都で竜騎士として華々しく活躍してくれていればいい、どうだ、悪い契約じゃないだろ。
君のご両親もそう言うと喜んで賛成してくれたよ」
「そ、そんな、父は……、そんなこと、一言も……」
フレイの顔が真っ白になっている。
ありえないけど、ありえること、なんだろう。
違うと言い切れない。
ものすごい咆哮が竜舎から響いてきた。
オーバが、フレイの異常を感知し暴れ出したのだ。
読んで下さり、ありがとうございます。
13歳の誕生日が過ぎたの確認し、約束が契約になり、フレイに責任が生じてから、書類作ってきてます。ややこしいことになるんじゃないかな!?




