28 不思議な場所
どうぞよろしくお願いします。
フレイはため息をついてから話を続けた。
「じゃあ、俺を避けてたわけじゃない?
これからも一緒にいてくれる?」
「避けるも何も……、フレイに近づくことすらできないんだから、無理だろ!?」
あんだけキルシェがずっとそばにいるんだ……。
「まあ……、フレイが相棒のドラゴンと出会う時は、私がヒーラーでいられたらいいなとは、思っているけど」
「ペスカ、6月15日、ペスカの13歳の誕生日、絶対会ってくれ」
「前日がフレイの誕生日だね。
ふふふ、会える時間作れるのかな……」
私は苦笑いした。
「絶対、時間作る」
「わかった、まあ無理しないで」
その時、遠くからドラゴンの鳴き声……、鳴き声なんてかわいいもんじゃない、咆哮とでも言うのか!?
山の奥の方から聞こえた。
私とフレイは顔を見合わせ黙ると、姿勢を低くして声の方向を探る。
フレイが指差す。
私は頷いてそちらに歩き出した。
息をひそめるように、周囲の気配を探りながら進んでいくと、目の前に森が途切れているところがあった。
きれいに草地が広がっている。
その草地の向こうに湖が見える。小さめだけど池というよりは湖というくらいの大きさ。
不思議だ……。
なぜ不思議かというと、湖の周辺にはぐるっと木が生えていなくて草地になってて、湖も岩場とか礫だらけの場所とかそういうものがなく、突然、湖の縁になっているような感じなのだ。
しかもそこから深そう。
徐々に深くなっていくのが普通じゃない?
作られた湖という感じがする。
上から見てないけど、なんだかきれいに丸い感じもするし。
そう地表に空いた大きな穴に水が溜まっているかのような……。
「フレイムドラゴン?」
フレイが呟いた。
あ、最大の炎攻撃。森を焼き大地に穴を穿つ……。
その時、風の音が変わった。
私達は慌てて湖の縁から、草地を走り森の中へ飛び込む。
風を切る大きな音と影が湖の縁に降りたった。
私達は動きを止め、息をのみ込んだ。
まだ若いフレイムドラゴンだった。
全身鮮やかな赤だが、羽根の先、頭の毛の先などに少し青いところが残っている。
この湖を作ったドラゴンの……、子孫?
フレイを見ると、何も言わず、じっとフレイムドラゴンを見つめている。
ドラゴンは私達がいた所を気にするように、匂いを嗅いでいるみたいだ。
ベースキャンプに到着する前に魔物避けの煙は使うのをやめて過ごしていたから、煙の匂いは薄れてるはずなんだけど。
きょろきょろと周りを見回していたが、そこに座りこんで、首を伸ばして眠るような体勢になった。
さて、どうするかだ。
テイムするには二通り。
戦ってこちらの力を認めさせるか。
話をして相棒になってくれるよう交渉するか。
まあ、話をしてダメなら戦いという2段階が一番可能性が上がるか。
ドラゴンが何かに気がついたようで頭を持ち上げた。
湖の反対側、人影が見える。
ケビンとユミエラ!?
鳴き声を頼りにこっちへ来たのだろう。
森を抜けて姿を現してからフレイムドラゴンに気がついたようで驚いている。
ドラゴンが立ち上がり「クァッ、カッカッカッカッ!」と威嚇のような声を発した。
ユミエラがシールドを張ったのが見えた。
戻れ、逃げて!!
シールドにフレイムドラゴンが吐き出した火の球がぶつかり爆散したのが見えた。
ふたりは逃げ出している。
ドラゴンは追う素振りを見せ、羽を広げようとした。
飛び立って上空から追われて攻撃されたら!?
私は思わず、こちらに注意を引き付けようと木々の間から草地へと飛び出した。
羽根を広げていたドラゴンはこちらを見た。
ドラゴンが身構えた感はあったが、すぐに攻撃してくる感じはない。
私は両手を広げて見せながら話しかけた。
「私はペスカ。
逃げる者を追うのはやめて、お願いだから……」
ドラゴンが羽根をたたんだ。
私をじっと見ている。赤い眼。
私はさらに両手を広げながら、ドラゴンに少しずつ近づく。
「ありがとう。
友達を追わずにいてくれて。
あなたはフレイムドラゴンね。私の言葉がわかるの?」
ドラゴンがまばたきした。
わかってるみたい?
読んで下さり、ありがとうございます。




