202 少し怖い
どうぞよろしくお願いします。
泊るようにと案内された客間はちょっとゴシックと言うの?
なんか……、雰囲気ある。
オーバ達は着地したテラスからすぐの石造りの部屋、竜舎でいいのかな? にいて、そこも重厚で暗い感じなんだけど、ドラゴンがいるいるだけで魔除けっていうか、そういう効果があるみたい。まあ、ドラゴンがパトロールしているだけで魔物の活動が抑えられるんだから、そういう空気感というか圧というか確実にあると思う。
私はちょっと楽なワンピースに着替え、上にカーディガンを羽織った。
ここでは寝間着になる気がしない……。
寝る仕度を済ませ、メイドさんが席を外したところで、こっそり客間を出た。
目指すは竜舎。
オーバとジョイに会いたくなったのだ。
客間に来た時の記憶と逆に……。
時々くるっと振り返って周囲の景色を確認している私はかなり挙動不審だろう。
でも、誰にも会わなくて、辿り着けた。
オーバとジョイは隣同士にいたので、その間に潜り込む。
オーバに寄りかかって座ると(下には藁が敷いてあったので)、すごくほっとした。
オーバが羽根をたたみ直すみたいにし、身体と羽根の間に私を挟むようにした。
一瞬、ぐえっとなったけど、動いて余裕を作り落ち着くと温かくて安心できて気持ちいい。
私はそのままうとうとしてしまった。
「ペスカ!! おい! 何やってんだ! こんなところで!!」
フレイの声。肩をつかんで揺すられる感覚。
目を開けるとフレイがいる。
「あ、おはよう」
「おはようじゃないよ。部屋にいないって大騒ぎになってるぞ」
「えっ? 何時?」
「12時回ったところだよ。日付変わったぐらい、真夜中」
「……3時間近く寝ちゃったんだ……。このままここで寝たい……」
「おいっ!」
眠いよ……。
「いたか?」
お父様の声。
「はい、やっぱりここでした!」
フレイの声が近い。
お父様が近づいてきた。
「ペスカ、黙っていなくなってはいけないよ」
「……ごめんなさい。おやすみの挨拶するつもりで来たら、オーバとジョイに会ってほっとしちゃって。
ここで寝ちゃだめ?」
「さすがにそれはいいとは言えないな」
目がしょぼしょぼする。
「ごめんなさい。戻ります」
ふわっと抱き上げられた。
ずんずん歩き出されて、私はため息をついた。
「お父様……、このお城、少し怖い感じがする……」
「子どもみたいなことを……」
あれ、お父様の声が後ろから聞こえる!?
えっ? あれ!? 抱っこしているのは……。
「フレイ!?」
「なんだよ?」
すぐそばで声が響いて、びっくりして目が覚めた。
読んで下さり、ありがとうございます