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201 辺境伯爵の城

どうぞよろしくお願いします。

「何?」


 オーバの上でフレイがちょっと照れくさそうにでもぶっきらぼうな感じで言った。

 

 私、何も言ってないのに。


「……お母さんに、チーズケーキのこと言えて良かったね」


「ああ」


 風の音を聞きながら……、私は言った。


「で、おばあちゃんには何を話してたの?」


「……内緒」


「私のおばあちゃんなのに!?」


 そう言ってふくれてみたけど、教えてくれなかった。


 突然、ふと気がついたように言った。


「アイリさんは、アイリ・リオになるんだな」


『ペスカ・ナーベイ』


 反射的に頭の中で考えてしまい、私は狼狽える。


 そんな私の様子に気がつかないようでフレイが続けて言った。


「アイリリオ……。なんか、会社? 建物? あ、お店? の名前みたいな……」


 フレイはそう考えたのか。

 あれ、私だけ、自分の名前が変わることを考えたって……、なんか、どういうこと!?


「……アリオじゃない。それ」


「アリオ? アリオ? うん?」


 私は苦笑いした。

 前世でお世話になったショッピングモールだよ!

 映画一緒に行ったじゃん!




 ◇ ◇ ◇




 辺境伯爵領に入った気がする。


「辺境伯爵領だね」


「ああ、そうみたいだ。空気感が違う」


 フレイが気を引き締めるような感じで言った。

 オーバもそれを感じているよう。


 森が多く、動物系の魔物が多い。

 演習で行った森も少しそうだったけど、人気のなさの空気感というのは段違いだ。

 それだけ、深い辺境の森には魔物がモンスターが多く生息しているということだろう。

 実際に住んでいる人の方が少数で、人里でも襲われることが起きる地だもの。


 辺境伯爵の城が見えてきた。

 城の上空を飛んでいるドラゴンが一頭。緑のドラゴン。リーフかな?


 エーリクさんが王都に戻っていたということは、アルベルトさんが残っているということで、もうひとりくらいいるのかな?


 リーフが合流して、あの城の上の方にある場所にホバリングでピンポイント着地して見せる。

 フレイがオーバに指示をした。

 オーバも落ち着いて……、着地成功。

 それを見届けてから、ジョイが見事な着地を披露。


「わー、すごいな、この城……」


 フレイが見回しながら呟いている。

 お父様が降りたのを見て、私とフレイもオーバから降りた。


「ペスカ、フレイ! よく来てくれたな!」


 お父様と言葉を交わしたアルベルトさんがこちらに向かって言った。


「お久しぶりです! リーフも久しぶり!」


 フレイも軽く頭を下げた。


 

 辺境伯爵家のお馴染みの部屋に通される。

 そこで私はフレイがアルベルトさんの代わりに城詰めをすることを初めて聞いた。


 エーリクさんが王都に行っていて、後3日ほどで帰ってくるそう。

 もうひとり前の団長さんがいたのだが、南の方で魔物の事件が多発していて、そちらに応援に行ったそう。

 そのため見習いであるフレイが、ちょうどお父様の領地に帰るのにくっついて行けば、ちょうどいいということで……。まあ、地方での仕事を覚えるってこともあるしね。


 エーリクさんが帰ってきたら、今度はアルベルトさんが王都に行くんだそう。

 うん、アリエスさんも待ってるしね。


 ということで……、今日はこのまま辺境伯爵の城に泊まることになる。


 えーっ!! ここにお泊まりは始めてだな。

 城って言っても王城と全然雰囲気違って……、なんか、暗くて、出そうというか……。


読んで下さり、ありがとうございます。

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