191 エースと親戚!?
どうぞよろしくお願いします。
「びっくりしたなー。ペスカとエースが親戚になるのか?」
帰り道、荷馬車の上でフレイが言った。
ライオネルが笑う。
「狭い村だもの。
そういうことはよくあるよ。
しかも、女親の方の従姉だろ。
親しくはしているけど、家が別になるわけで、そこまで連絡も取り合わないもんな」
「そういうものか。そうか、エースは男の子だしね。
従姉が結婚するよぐらいは聞いてるけど、うちの兄さんが相手とは思わなかったという感じかな。
後で教えてあげたら、びっくりしそうだね!
ふふふ、エースと親戚かあ。なんかうれしい」
「じゃあ、ペスカと俺が結婚したら、エースとマリアも親戚?」
フレイの言葉にライオネルがびっくりした顔をした。
「ペスカとフレイってやっぱそういう関係なの!?」
私は慌てて首を振る。
「いやいや、そういうわけじゃ。
フレイとエースは仲が良くて、私はマリアと仲が良いの。
マリアはエースの恋人なんだけど……。だから、例えばってことだよ。
あ、マリアはスノウを今の工房に紹介してくれた恩人なんだよ。
この前スノウとご飯食べた時、マリアもエースも一緒だった」
ライオネルがちらっとフレイを見た。
「フレイは?」
「フレイはいなかった」
「そうか、ペスカが貴族の養女になったって聞いたから……。
そんなきれいになって帰ってくるし。
たぶん、明日の結婚式で、ペスカを見た大人達からうちの嫁にって縁談が持ち込まれると思うな」
「……って、私はジョブがもう決まってるから、レミ村にはなかなか帰って来れないよ」
「まあ、ダメもとで、申し込みだけしてみるかって、親って意外とチャレンジャーだから」
フレイがその言葉に笑った。
「親って意外とチャレンジャーか!
なんか言い得て妙だな。
そう、息子本人の希望とか意見とか何も聞かずになんかしてそうだもんな」
「そうなんだよ。
お前に任せておくといつまで経ってもとか言ってさ。
フレイもそういう経験が?」
「ああ……、勝手に婚約を進められていたことがある」
「あー、それはきついな。
でも、大丈夫だったんだろ」
「うん、ちゃんと契約無効にできた」
「そういえば、フレイはダン村には行かなくていいのか?
行くなら、こっちに行けばすぐだよ」
「あ……、俺はそのこともあって、親と縁を切っていて……」
「へー、でも、なかなか会えないんだから、元気な姿を一目だけでも見せたら」
「う……」
「縁切るって言っても、気にはなるだろ?」
「あ、それは……」
フレイが迷っている……。
私は言った。
「じゃあさ、ダン村1周だけして来ようよ。
フレイの育った村も見てみたい」
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