188 『いじらしい』(後)
どうぞよろしくお願いします。
お父様が苦笑した。
「ペスカが本当の『お相手さん』が他にいるのではと言った時、何をバカな……とは思ったが。
自分が本当の『お相手さん』だと、自覚してきたのか?」
「本当で、本物だったら、そうなら、うれしいと思う」
「ふふっ、フレイ、頑張ったな」
「あー、だから、お父様から見たら、いじらしい?」
「いや、もうフレイはペスカの気持ちをしっかりつかんでいるんだろう。『いじらしい』ではないね」
「そうなら……、少しは気持ちが軽くなります」
「フレイとヨシュアはいいが……。
アーサー王子は何かしでかしてきそうではあるな……」
「うん、それなのに、あっちが『いじらしい』って思われちゃうんだ」
その時、ジョイが私をちらっと見た気がした。
はっ!!
私はガッとベルトにつかまる……が、何も起きず。
お父様が笑った。
「さっきはだいぶオーバに遊ばれてたみたいだな」
「ジョイが教えたんじゃないの!?
もう、フレイまで面白がって、大変だったんだから!!」
はあ、なんかもやもやしていたことはお父様に話して、少し気が晴れた。
「そういえば、ダンジョンで得たお金をどう使うつもりだい?」
「えっと……、少し両親と兄に贈りたいと思っています。
後は妹達が結婚した時や街や王都で仕事をして暮らすってなった時に援助ができるように取っておこうと」
「そうか、自分の未来のためにも残して置いて欲しいが。
……ペスカはモリソン商会での買い物は私を頼ってくれるが、他のことはあまり頼ってくれないからね。心配してたんだ」
「あ……、ずっと帰省のために貯めてたこともあって。
こうやってドラゴンで送ってもらえることになったから、その貯めてたものを今まで我慢していたことにちょっとずつ使ってる。
新しい服を買ったり、みんなとご飯に行ったり。
ダンジョンに行くのだってね。
お父様も仕度や交通費がかかるだろうってお小遣いくれたよね。ありがとう」
「自分が貯めていたお金は大切にして、学校にいる間くらいはもっと私を頼って欲しいな。
娘なんだからね、ペスカは。
というわけで、兄さんへの祝い金は我が家から包む。ペスカは用意した贈り物だけ渡しなさい」
「ありがとうございます。私は……、幸せ者ですね」
後ろから「ペスカ! 見えてきた!」とフレイの声。
ノア村とダン村がかすかに見えてきてる。
レミ村はさらにその奥だ!
「レミ村まで飛んで、そこから、ノア村へも馬車で行けるだろう」
お父様がそう教えてくれる。
ダン村はいいのかな? 本当に?
私は心配そうにフレイを見た。
オーバの背の上からで村を見つめている。
「フレイは……、気になれば、自分で行くだろう。
もし、一緒に来て欲しいと言われた時は……」
私は頷いた。
「はい、その時はフレイについていきます」
読んで下さり、ありがとうございます。