182 ハーブのお願い(後)
どうぞよろしくお願いします。
マリアがぽんと手を打った。
「フィオナね! ミニ薔薇でペアになったフィオナ!
うんうん、女の子へのプレゼントは悩むわよね……」
「そうなんだ。なかなかいいの、思いつかないし。
考えても、もう持ってるかもしれない、それに趣味とか……、考えれば考えるほど、正解というか何なら喜んでくれるのか、わからなくなって……」
マリアが考え込む。
「フィオナは音楽やるわよね。バイオリンか……。
音楽をモチーフにした小物とかがいいんじゃない?」
マリアのアドバイスにハーブが真剣に頷く。
「うん、いいと思う」
「……ペスカは誕生日プレゼントにあのピンクの髪飾り貰ったのよね。
それでいつも身に付けてた。
音楽モチーフの髪飾りか髪留めがいいんじゃない?
あまり高価なものにしなければ、喜んで受け取ってくれて、いつも身に付けてくれると思う」
マリアの言葉に私も頷いた。
「うん、いいと思う。
きっかけになったバラモチーフなんかも素敵かも」
「ああ、それもいいね!
明日、探してみよう!
いいアクセサリー屋があるの。いろいろなモチーフのアクサセリーを取り扱ってて、値段も手ごろで王都の女子に人気があるのよ! 明日、行ってみよう!」
ハーブが「ああ、マリアとペスカが女神様に見える……」と言った。
「ふっ、女神寮だけにね」
カフカが言って、みんなで笑った。
私はモリソン夫人に真珠の髪飾りを見せ、預けている首飾りとイヤリングと一緒に保管してもらうように頼んだ。
それから、今回のダンジョンで貰った首飾りを見てもらう。
どちらかと言うと、ペンダントって感じかな。
シンプルなので普段身に付けていてもおかしくない、大丈夫だとのこと。
まあ、お守り的なものだしね。
真ん中に赤い丸い石。その周囲に蔓草的な金銀細工、その部分に露のように小さな透明の石がぽつぽつと数個付けられているデザイン。
それに銀の鎖がついていた。
「ちょっとアンティークな感じで素敵ね」
アリエスさんも褒めてくれた。
「普段つけても大丈夫か。制服なら隠れて見えないしね。
加護があるなら、付けていようかな……」
用事も済んで、モリソン商会というか男爵家の馬車で学校へ送ってもらうことになる。
馬車の中でハーブとマリアが明日の予定を決めている。
カフカが「なあ、ランチで行きたい店があるんだけど……。明日、一緒に行ってくれないか?」と言ってきた。
カフカ、食いしん坊なうえに美食家?
話を聞くと美味しいと聞いて気になる店があっても、ひとり、または男の友達とでは行きづらくて、結局、行けてない店がいくつかあるんだそう。
マリアは笑って「じゃあ、ランチはカフカのお薦めの店にしよう!」と言った。
「エースも来るはず。なので、エースとカフカとハーブとヨシュアと私とペスカだね。
ふふふ、楽しみ!」
次の日、私達は王都巡りの馬車に乗って、王都通りで降りた。
最初にその髪飾りをお店に行く予定。
ヨシュアとカフカがランチのお店を予約してきてくれることになる。
マリアが「7人でね! ペスカの友達がひとり加わるから!」と言ってくれた。
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