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166 久しぶりの学校で

どうぞよろしくお願いします。

 寮でゆっくり休んだ次の日、ヨシュアと私は女神像を寄贈するにあたって必要な書類を用意しておこうと図書館に行き、調べて書類を準備した。


 日にち、発見した場所、寄贈すると決めたみんなの名前。


 書式とかあって、調べながらだったので、午前中いっぱいかかってしまった。

 これでみんなが帰ってきたら、すぐ学校を通して教会に寄贈できる準備が整った。


 

 ヨシュアと食堂に寄ってから、私の右手の傷の様子を見たいと言うので薬科教室へ一緒に行った。


 塗り薬はギルドの治癒師の方に少し分けてもらってまだあるんだ。

 かなり薄くはなってきているんだけど、見た目は、赤い部分が不自然に残っているので一応薬を塗って包帯してる。


 ヨシュアが私の右手首をじっと見て「もう痛みはないの?」と聞いてきた。


「うん、触っても……、まあ、ぎゅっと押したりすれば、何でもないところよりかは痛いけど」


「そうか、ちゃんとヒーリングしてる?」


「うん、してるよ。夜、必ずするようにしている。

 みんなは明後日帰ってくるね!

 アイテムどうなったんだろう、結果を聞くのが楽しみだね!」


「ペスカ、これ渡しておく」


 小さな小瓶がひとつ、机の上に置かれた。


「新しい解毒薬? もらっていいの! ありがとう!」


「来年、また渡す。使わなかったら……、使わない方が本当はいいんだろうけど。

 今回、ペスカが死んでしまうんじゃないかって……。

 僕が、あの時、話し合いの時に、そばを離れたからだよな……。

 本当に、悪かった」


 ヨシュアの瞳から突然涙が零れて、私はぎょっとする。


「な、泣かないでよ!

 そんなこと思ってないし!!

 あれは、私が不用意に、呼ばれてそばへ行っちゃったからで、誰のせいでもない……。

 誰も、責任感じることない!」


 ヨシュアが私の右手を握って、手首をそっと撫でた。


「ペスカを失うかもしれないと思ったら……。

 何もかも、どうでもいいから、ペスカを助けてくれって祈ってた」


「どうでもいいって……」


「ペスカも同じなんだろ?

 フレイが死ぬかもしれないと思ったら、もしそれがペスカが離れることで回避できるなら、自分の気持ちなんてどうでもいいって……」


「う……。確かに、そういう気持ちがあるかもだけど……。

 前世では一護が死んで、すぐに私も死んでる。

 15歳で死なずに、16歳になったら、どうなっているかな……」


「フレイは待っていると思うよ。きっと」


「ヨシュア、フレイのことお願いね」


「……ずるいよ、ペスカは。

 ペスカのお願いなら、僕が断れないこと、知ってて……」


「断ってくれてもいいんだけど……」


「断りたくない。

 どうせ違う奴に頼むんだろ。

 断ったら、ペスカとの繋がりが切れそう……」


「そんなことないよ。ヨシュアは1年の時からの親友だよ」


「ああ、どうして、こうなっちゃったのかなぁ。

 ペスカのこと、こんなに好きなのに……」


 そう言われても、私はどうしようもない。

 謝るのも違う気がする……。



「ごめん、困らせたね。

 もう行こう。フレイはしばらく竜騎士団にいるんだろ?」


 ヨシュアに謝らせるのも違う気がするんだけど……。


「うん、このまま領地に行くまで、たぶんあっちじゃないかな?」


 ヨシュアが包帯を巻き直してくれ、いつもと同じ口調で言った。


「明日は何するの?」


「明日はまだ決めてないけど、今日、これからキルシェと会う約束で、魔神寮に行く」


「キルシェと?」


「うん、魔神寮で一緒に勉強して、夕食を一緒に食べる約束してる」


「僕も行っていい?」


「うん、魔神寮の子達も喜ぶよ」



 本当に、私はどうしたらいいんだろう。

読んでくださり、ありがとうございます。


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