159 助けてくれて
どうぞよろしくお願いします。
振り向くと、私の結界の中で苦しんでいるデストードで!!
いつの間に!!
知らずに後ろ向きに近づいてしまったんだ!
あ、右手つかまれちゃった!?
フレイが槍でデストードを突くと、私から手を離し、倒れてのたうち回っている。
結界は解いてはいけない!
私とフレイがいるし、デストードもスケルトンも吸収が始まるまでは……。
右手首がドクン! と痛んだ。
毒かよ~! うわぁ~!
私はお守りのように持っていたヨシュアの解毒剤のことを思い出し、ポケットから取り出して飲んだ。
ポケットに移動させておいて本当に良かった。
カフカが駆け下りてきて、デストードと私の右手首の赤い傷を見て「毒!?」と顔をしかめる。
うう、右手が痛い。
フレイが私を支えてくれて、階段を上らせてくれる。
「結界を維持してる?」
私は頷く。
「ヨシュアの解毒剤、飲んだ。
このまま結界は維持して、ベースキャンプまで戻る」
カフカが階段を下から守るように登ってきてくれ、上がり終わると今度は先頭に立ち誘導してくれる。
ベースキャンプへの階段に到達すると、先に登り、ヨシュアの名を呼んでくれている。
フレイと階段を上がる。
「フレイ、助けに来てくれて、助けてくれて、ありがとう……」
そう言いながら、ああ、回復か治癒か何かしなきゃと思ってるのに、目の前が真っ暗になった。
◇ ◇ ◇
暗……。あ、そうか、ダンジョン内だものな。
私は大きく呼吸した。
うん、大丈夫。身体は動く。右手も少しピリピリはするけど大丈夫そう。
身体から毒は消えたみたいだ。
「ペスカ、大丈夫か!?」
目の前にフレイの顔が現れた。心配そうな表情。
なんだか、前世で私の体調が悪い時に見舞いに来た一護の表情を思い出した。
「大丈夫。フレイのこと、わかる」
私は横を見た。
ベースキャンプだ。
あの4人組どうしたんだ?
「4人組は? あのふたりは?」
ヨシュアの顔が急に現れた。
「エースとカフカとマリアとケビンで、ギルドに突き出しに行ったよ」
「4人とも?」
「……? あのふたりが勝手にしでかしたことだろ?」
「ちがうよ。
途中でマジックバッグが……、マジックバッグの人が言った。
マンシーに安全そうな所だけ回収して、最後の広場の所は回避して行かないようにと指示されたと言ってた。
ヒーラーが欲出して、さらに下の階のふたつのポイントぐらい回れるんじゃって言い出した時にもそう言い返してたし」
「……? マンシーともうひとりもぐるってこと?」
「うん、エース達、大丈夫かな?
アイテムはどうなった?」
「え? 何も取れなかったとか?
生成されてないとこがあったとか……」
「……1か所目にブレスレット、2か所目に宝石箱みたいの。
3か所へに向かう時にこっちに行ったら階段だなってヒーラーが言い出して……。
下の階ですぐ豪華そうな首飾り見つけて回収した」
「……あの4人なら大丈夫と思うけど。
ふたりは武器を取り上げて拘束したし」
私はため息をつきながら言った。
「まあ、カフカはマンシー達がマジックバッグを選んだ時から怪しいと思っているから、たぶん、用心してる、よね、きっと」
フレイが私の額に手を伸ばしてきて、前髪をかきわけるような仕草をした。
「フレイ、助けてくれて、ありがとう。
髪飾り、見つけてくれた?
何も持ってない状態で連れ出されちゃったから。
本当に、すごく迷ったけど、残せるものそれぐらいしかなくて……」
「うん、大丈夫だよ。ちゃんと拾った。
棒の方はペスカが握っていたろ。一緒に預かっている」
「うん、良かった。失くしたくなかったから……」
読んで下さり、ありがとうございます。