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144 女神寮のお茶会に!(後)

どうぞよろしくお願いします。

 私はフレイの肩のあたりをつかんでこちらに寄せると耳元で言った。


「こんなみんないるところで、何も起きないから!」


 フレイが頷いてエース達がいる席に戻って行く。


 マリアが「ちょっと裏に行って仕事してくるふりしてきなよ」と言ってくれた。


 ふりではない。仕事あるから! と思ったけど、ありがたく裏に行き、ナプキンの補充や数の確認を手伝ったりして、気持ちを落ち着けてから出て行く。


 アーサー王子達のテーブルへ行くと、テレーゼ先輩が私の代わりに席を立って受付の方へ行ってくれた。

 何、マリアと話しているんだろう?


「ペスカ、会えてうれしいよ。

 ちょうど昨日、差し替えるための真珠が見つかったそうだ。

 2週間ほどで修理が終わるそうだよ」


「ありがとうございます」


 髪飾りの修理の進行状況を教えてくれるなんて、優しい。

 気になってたことだから、素直に良かったと思えた。


「今日はどうして学校のお茶会に?」


「学校のお茶会のことは在学していたから知っている。

 去年から騎士団や竜騎士団の騎士が招かれて参加していることは聞いていたが、魔法省はそういう繋がりがなくてね。

 ロマネスとパトリシアと話をしていて、女神寮のお茶会、ペスカがいる寮のお茶会に行くと聞いて、一緒に連れて来てもらったんだ」


「そうなのですか!

 在学中は魔神寮ですものね。帰りにロマーナ先輩と寮を訪ねてみたらいいですよ。

 久しぶりでしょうし、みんな喜ぶと思います」


「そうだね……。まあ、ゆっくり話せないことはわかっていたけれど、ペスカに会えて良かった。

 今度、魔法省に遊びに来てくれ。

 魔法騎士、魔法使い、ヒーラーと全て魔法を使う者を管轄している場所だ。

 これを渡しておく」


 招待状のようなカードを渡される。


「ぜひ、訪ねてきてくれ」


「はい、時間を作れれば。

 友人も一緒でいいですか?」


「ああ、大歓迎だよ」


 友人も一緒でいいということにほっとする。


「さっきの……、あの少年は誰? 仲が良いのか?」


 アーサー王子が少し離れた席のフレイを見ている。


 こらっ! フレイ、睨まないのっ!


「私と同級で、同じ教区出身で、彼は竜騎士なので、頼まれてヒーラーを引き受けている友人です」


「……友人ね。ずいぶん親しげに見えたが……。

 まあ、そういうことなら。

 ペスカ、男の子の格好もかわいいな。

 私の副官として連れて帰りたいぐらいだ」


「いや、学生ですし、それに私は将来、教会に入ることは決まっています」


「そうなのだね。ちょっと調べてすぐわかったよ。

 ペスカ・リオ。

 今はペスカ・ハウアー男爵令嬢で、ジョブは聖女。

 抜群のヒーラー能力を見せ、4年生ですでにSS級ヒーラー。

 ぜひ、魔法省にも来て欲しい逸材だよ」


 お? 仕事の話? 職場に望まれている感じ?

 それなら、もうちょっと気を許しても?

 でも、お茶会でずっと話しているわけにもいかない。

 席空けないとね。フレイ達も同じなんだけど……。


「今日は寮のお茶会。学校行事ですので、私はこれで仕事の方に戻ります」


 アンナ先輩も笑顔で私と同じタイミングで席を立つ。


「パトリシア先輩、ロマーナ先輩、アーサー様。

 今日はどうもありがとうございます。

 では、失礼します」


 アンナ先輩とふたり会釈をして、テーブル席を離れることに成功。


 ふう、挨拶もできたし、これで大丈夫だろう。


 お客様の見送りや、新しく来たお客様を迎え入れたり動いていると、マリアがトントンと肩を叩いてくる。


 なんだ?


「あれ、大丈夫?」


 見るとフレイとエースがロマーナ先輩に挨拶に行ってて、アーサー王子にも紹介されてる!?


 なんか……、確かに大丈夫? だな。


 私は引き攣った笑いを浮かべたんだろう。


「どうする?」とマリア。


「どうしたらいい……? トラブルが起きるのも嫌だよ。お茶会なのに!」


 ぼそぼそ返事した。もうわかんないよ!

読んで下さり、ありがとうございます。

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