133 矛盾する気持ち
どうぞよろしくお願いします。
「降ろしてよ」
「アーサー王子は魔法使いで、ステファン王子は騎士。アベル王子は農政の方で活躍しそうなんだよな。ヨシュアは神官で薬に詳しい……。
アーサー王子は女嫌いって言われているんだよ。
なんでペスカのこと……」
「妹みたいに思ったんじゃないの?
泣いてるの見たくないとか……、あれ、泣けとも言われたな……」
私はフレイに抱っこされてる状態で少し赤くなった。
「何?」
フレイに聞かれて首を振る。
早く降ろしてくんないかな……。
近過ぎて、表情とか動きとか呼吸とか全部読まれちゃう。
「そんなわけないと思うけど……。
フレイは、私が泣いたら嫌でしょ?」
フレイが頷く。
「でも、私の泣いている顔は見たい?」
フレイが動揺している。
私は話を続けた。
「矛盾しているけど……、アーサー王子に言われた。
私が泣くのは嫌なんだけど。つまり他の人に泣かされたり、泣いているところを他の人に見せたくないってことかな。
でも、アーサー王子の前でだけは泣いてもいいみたいな……ことを」
ドキドキを感じた。
あれ、私じゃない。フレイの方!?
「……疲れたんじゃない? 降ろしてよ」
「ちげーわ! ペスカが変なこと言うから!」
「変って、何が?」
「……俺もそう思う」
「なんで、それでドキドキって……」
「それってペスカを守りたいし、ペスカを独占したいってことだよ」
「ほお……」
私は気が抜けたような返事をしてしまう。
「えーと、アーサー王子はアルベルトさんと同級だったよな……。
ロリコン?」
「じゃないだろ!?
じゃあ、俺もロリコンかよ!?」
「……フレイは同い年だからセーフでは?」
私は笑ってしまった。
そこへ……。
「おーい! 明かりがついているってことは帰って……」と声とともにエースが玄関のドアを開け、私達を見て「あ! 悪い!」と言った。
「悪くないよ。ただおしゃべりしてただけだし」
私はフレイの肩をとんとんと叩いて降ろしてもらう。
「悪い……、邪魔したよな……」
しょげるエース。
「いや、別にそういう話はしていない」
私の言葉にさらに動揺するフレイ。
「えっ? 今、俺……」
言いかけてがっくりした。
エースとフレイが女神寮まで送ってくれた。
この後、魔神寮に行くって。
私は手を振って見送ってから、あれ? と思った。
この世界に『ロリコン』って言葉はない。
強いて言うなら幼女趣味とか少女愛好とか、かな?
それでも、フレイには意味が通じてた……、みたい。
やっぱり一護なんだろう。
前世の記憶はなくても、前世の知識とかはうっすら引き継いでいるのかもしれない。
読んで下さり、ありがとうございます。
フレイ的には告白に近い言動だったのですが……。
ブックマーク、増えてる!!
どうもありがとうございます!