129 自業自得
どうぞよろしくお願いします。
ヨシュアとステファン王子とマリアが走ってきてくれた。
ヨシュアが私の手にそっと手を添えるようにして「大丈夫だから」と言ってくれる。
「うう……」
今日一日、すごく我慢した。不安だった。
自分が身につけていたって壊しちゃうことはあるだろう。
でも、でも……。
「こんなの……、あんまり……だ……」
ひょいと抱き上げられて、少し驚いたが涙は止まらず。
ヨシュアの手が離れ、唖然とした顔が遠ざかる……。
あれ?
私はアーサー王子に抱っこされて大広間を出て行こうとしている!?
「そんなに泣くな。何とかしてやるから」
そう言われながら、どこへ!?
涙目で後ろを見るとヨシュアとステファン王子とアリエスさんとキャロラインさんとマリアが追いかけるように小走りしてきている。
エレイン様までこちらへ追いかけてこようとしている。
「お、降ろして、下さいっ!」
「泣きながらそんなことを言われててもな。そのまま泣いてろ」
私は手の中の髪飾りに目を落とす。
止まりかけていた涙が……、感情がぶり返した。
「よしよし、存分に泣け。私が何とかしてやるから」
そのまま、抱っこで連れて行かれた部屋のドアをアーサー王子は足でノックのように蹴った。
ドアを開けてくれた侍女がびっくりした顔で大きく開けてくれる。
ソファから立ち上がった王妃殿下の姿が見えた。
「何事ですか!?」
「彼女の……、あれ? それは君のもの……ではない?」
「私の、ものです……」
「彼女の髪飾りが……」
その時、ヨシュア達が追い付いた。
「アーサー! ペスカを離せ!」
ヨシュアの言葉になぜかアーサー王子が私を抱えている手に力を入れたのがわかった。
「私が保護したのだ。そして約束した!」
「アーサー! とりあえずペスカを降ろしなさい。
そして説明を!」
王妃殿下の言葉でヨシュアが私を抱えているアーサーをソファへ誘い座らせると隣に座り、私の手の中の髪飾りを見て、ため息をついた。
「そういうことか……。
大丈夫、ひとつだけだし、交換になるけど直せるはず」
「でも、でも……。お母様とお父様に申し訳なくて……」
王妃殿下が言った。
「だから他人に貸すなどしてはいけなかったのです。
自業自得と言うのですよ。
これからは決して……」
「違うんです!!」
ヨシュアが言った。
「ペスカは最初から貸してなどいないっ!」
「どういうことですか? そして、何があったの?」
読んで下さり、ありがとうございます。