120 真珠のネックレス(前)
どうぞよろしくお願いします。
私の水色のドレスは……、素敵!
レースがちょこっと使われていて、かわいい!!
「どう? 素敵でしょ!
この上品な感じのレース使い!
見た時にペスカに似合いそうだなって思ったの!」
モリソン夫人が説明してくれる。
少しだけ化粧してもらい、マリアは黄色のドレス、私は水色のドレスを着つけてもらう。
マリアの髪は黄色のリボンを編みこんで、かわいらしく結い上げたもの。
私はお母様の真珠の髪飾りを結って付けてしまうと、格調高くなり過ぎるので、ハーフアップにして付けたらと提案され、それでお願いする。
メイドが私の装飾品の箱を開けて、目をぱちぱちさせ、アリエスさんを困ったように見た。
アリエスさんがメイドの所へ行き、覗き込んで、慌てて他の箱も確認している。
「お母様!!」
アリエスさんの声のトーンが、暗い……。
「どうしたの?」
「ないの……。ペスカの真珠の装飾品!
髪飾りと首飾りとイヤリング!
指輪だけ残っている。これは年齢的にまだつけないものだものね」
モリソン夫人の顔が険しくなり、アリエスさんとメイドの所へ駆けつけると、箱を覗き込んで天を仰いだ。
「なんてこと……」
アリエスさんがさらに暗い声で言った。
「キャロラインじゃないかしら……」
モリソン夫人ははっとして言った。
「バッグの中に隠し持ってた!?
だから、いつもより小さめの……」
マリアが申し訳なさそうな顔で「ごめんね、ごめんなさい。ペスカ」と謝ってくる。
私は心配になったけれど、明るい感じで言った。
「キャロラインさんが持っているなら大丈夫ですね。
私のものではなくてお母様のものなので……。
大切に扱ってくれて、無事に戻ってくれば……」
でも、真珠の装飾品をケースに入れずに、あの小さなパーティーバッグに入れて持って行ったのかも……。
真珠だから丁寧に扱って欲しいのに……。傷ついていないことだけを祈ろう……。
そこへヨシュアが到着したと知らせが来て。
モリソン夫人は仕度の部屋にヨシュアを招き入れた。
私以外、アリエスさんとマリアは用意できてるからね。
モリソン夫人がヨシュアに、キャロラインさんが私の真珠の装飾品を持ち出してしまったらしいと説明した。
「あの真珠の?」
「ええ、髪飾りに、首飾りとイヤリング……、ですわ」
「……じゃあ、これ使って下さい」
ヨシュアが小さな箱をポケットから取り出す。
なんかフレイのことを思い出した。
「今日は手袋ないだろう。だから、ブレスレットなら身に付けてくれるかと。
でも、これ、パーツを繋げればネックレスにもなって……」
ヨシュアが箱を開けて、少し長めのものと短めのものを取り出す。
留め具で繋げると短めのネックレスになるようだ。
留め具は銀色で飾りのように小さなキラキラ、たぶんダイヤが埋め込まれてる。
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