12 お出かけのお誘い
どうぞよろしくお願いします。
アンジェリカ先輩達がテーブルから離れたのが見え、私達もお暇することにする。
「フレイ、エース、今日はありがとう!
お茶会の勉強になった!」
「送るよ」
エースが言ってマリアをエスコートする。それを見てフレイも私の手を取った。
「そろそろ誕生日だろ?」
「フレイもだよね? もう誕生日来たの?」
判定式は誕生日順だったので、フレイの次が私だった。
「6月の中旬……、14日だよ。ペスカは?」
「私は15日。エースは?」
「エースは8月だよ」
「そっか、フレイはあとちょっとで12歳か!」
「ペスカもだろ!?」
「そりゃま、そーだけど」
「今度の休み、外へ行かないか?」
「外? 王都へ?」
うーん。ま、たまにはいいか……。
「そうだね。いいよ」
フレイがうれしそうな顔をした。
「じゃあ、詳しいことは連絡する」
「うん」
出口で飾り付けに使われている花を小さな花束にしてプレゼントしてもらえた。
「わ、こういうのも素敵だね!
ありがとうございます」
手渡ししてくれた年上っぽい生徒にお礼を言った。
私達は門を出てから振り返り、エースとフレイに手を振った。
寮長のザカリー先輩も手を振ってくれた。
「お茶会楽しかったです!
1年生が給仕係だったけれど、2年間うちの寮はやってないんですもんね……。
2、3年生もおもてなしをする方を体験した方がいいのかな?」
私の言葉にアンジェリカ先輩が笑った。
「あら、やる気になった?」
私とマリアは顔を見合わせ返事した。
「「はい!」」
フレイとエース、招待しないと!!
部屋に戻ると、兄からもらった花瓶に花を生けた。
ふふふ、次の休み、楽しみだな。
5月最後の休み。
私とマリアとヨシュアは王都観光のために寮を出て学校の門へ向かっていた。
マリアはかわいい水色のワンピースを着ている。
茶色の髪をポニーテールにしていて、いつもより元気な感じ。
私は制服のブラウスに明るい茶色のスカート。
家から持ってきた服で裾を出して、もうギリギリ。
学校から日常の物を買うためにおこづかいは支給されているんだけど、あんまり使わないようにしていて、服は買ったことないんだよね。
というか、学校の外に出るの初めてだし。
帰省の交通費のために出来るだけ貯めているんだけど、さすがに服一式ぐらい持ってないと……、困るか……。
髪はいつものように下ろしてるけど、祖母に貰った髪飾りをつけた。
ヨシュアは白いシャツに黒のズボンとベスト。白黒だ。
校門を出て道を渡った公園でフレイとエースと待ち合わせしていた。
ふたりとも白いシャツに黒いズボンで、エースは黒い上着を手に持っていた。
黒いズボン、流行っているの?
「どこに行く?」
フレイに言われるけど……。私は困ってしまった。
「みんながお薦めのところに。
私、学校出るの初めてでよくわかんないから」
「えっ? 初めて?」
フレイに驚かれて、恥ずかしくなる。
「本当に!?」
エースまで驚いている。
ヨシュアが言ってくれた。
「ペスカは家が遠方だから、帰省費用にしようとほとんど支給金貯めてんだよな」
私は頷いた。
「でもさ、さすがにもう服買わないとやばいということに気がついたよ……。
今回誘ってもらって良かった」
マリアが言ってくれる。
「というわけで、最後に私とペスカだけ、ちょっと洋品店に寄って帰るから!」
エースとフレイが顔を見合わせている……。
同じ教区だもんな。帰省したくてお金貯めてるなんて、呆れられたかな。
読んで下さり、ありがとうございます。
ペスカ、かなり倹約してます。
日常品、文房具や石鹸などほとんど学校を通して買える物しか使っていません。
ブックマーク、ありがとうございます!
うれしい!
これからもどうぞよろしくお願いしします!




