118 本望!?
どうぞよろしくお願いします。
「ペスカ、大丈夫か?」
お父様が手を差し出してくれ、つかまって立ち上がる。
なんか頭がくらくらする。
「水をぶっかけるのは悪い方法ではなかったが……。
そのまま、離れているべきだったな」
「えっ、あ、背中泥んこ!?」
周囲を見回せば、私とフレイが、特に背中や髪に泥がついてて。
みんな、生温かい目で見ていて……。
結局、マリアとユミエラが怪我をしている人に治癒とヒールをかけてくれることになり、私はヨシュアと女神寮に戻った。
風呂に入ればいいけど、泥で風呂がじゃりじゃりと汚れちゃう……。
夏なら庭で水浴びして落としてからでもいいけど、まだ4月で寒いから、清浄魔法をかけて泥はきれいにしてから、部屋の風呂に入ることにした。
風呂に入りながら、自分のお尻? 股? に当たった硬いものについて考える。
あれは……、フレイの……だよね。
ん? フレイはあの状況に興奮したってこと?
Mなの?
あれ、私が恥ずかしがったから、S?
女の子が恥ずかしがる顔を見て興奮するなんて……、変態?
でも、こんな私でも女の子として見てくれたのか……?
いや、私にじゃないだろうし、身体?
女の子の身体なら、誰でもいいのか!?
頭をぶんぶん振って、このことは忘れようと思った。
風呂から出るとテレーゼ先輩も部屋に戻ってきてた。
「大変だったんですってね」
笑いかけられて、なんのことだ? と思った。
怪訝な顔をしてしまったんだろう。
「……大変じゃなかった?」と逆に聞かれてしまった。
「いえ、大変なことがいくつかあって……、どのことだろうと」
私は髪を拭きながらため息をついた。
話をしていたら、フレイとケビンのケンカの話だとわかった。
私が止めようとしてフレイに押し倒されたみたいな話になってるらしい。
「違うんですけど……」
「どこが?」
「えーと、試合で一発入ったら、本気になっちゃって。
だから、ケンカって言えるか、微妙だし。
私が水をぶっかけちゃったから、転びやすくなってフレイと私が一緒に転んじゃったから、最終的にそんな感じに………」
うん、水ぶっかけて、離れてりゃよかったよ。
「でも、好きな人に押し倒されれば本望じゃない?」
テレーゼ先輩、なんということをさらっと言うんだ!?
私がびっくりした顔をすると、ふふっと笑われた。
夕食後、マリアの部屋に行くと、ヨシュアも来て、あの後の話を聞くことができた。
フレイは服を脱いで泥をはたいて落とそうとしたら、ケビンが水魔法が得意だからと言い出して、水をさらにかけられたそう。寒そう……。それから風呂に。
エースの怪我は治したけど、ケビンとフレイの怪我は途中まで治したそう。
ジェラルドさん、お父様のアドバイスで悪いことをしたのだから、しばらくは鏡を見る度に反省すべきだと。
「フレイが言ってたけど、ペスカは大丈夫?
痛いって言ってたって気にしてた」
マリアが心配そうに聞いてくれた。
「左胸を強くぶつけたみたいになって、ちょっと痛かったけど、風呂に入った時、確認したら、大丈夫だったよ」
「そう、良かった。それから『当ててごめん、責任取る』とか言ってたけど、その胸のことかな?」
私は真っ赤になってしまい、マリアとヨシュアの方がびっくりしてた。
あー、忘れようとしてたのに!!
「何? 違うの?」
「……知らないよっ」
私は怒ったみたいに答えた。
読んで下さり、ありがとうございます。
ペスカは百果だった時にマンガや本をけっこう読んでいるので……、そういう知識は少しあります。でも、本質的には……よくわかってはいない、かも。
学校でもチームで動く演習などもあるので、注意や話は聞いています。