110 秘密が多くなると……
どうぞよろしくお願いします。
「それに、王妃殿下って……」
言いかけて黙る。
ロマネス王弟殿下から聞いたことは誰にも話していない。
だから……、えっと……。
「ヨシュアのお母さんになる?」
ヨシュアが困った顔をした。
私、知っているのに……。誤魔化そうとそんなことを口走ってしまった自分が嫌になる。
「僕は側妃の子であるから……。まあ、義理の母みたいな?」
「ああ、ごめん、そうなんだ」
王妃殿下はルーチェさんのことが気に入らないなら、ロマネス王弟殿下とヨシュアのこともあまり……。
どういう感じなんだろう?
そして私は、ヨシュアの友人として?
マリア達はステファン王子殿下の友人として招待される?
首を捻っていると笑われた。
「何が気になっているの?」
「んー、ステファン王子が言ったんだけど、お茶会にモリソン男爵令嬢達を招待するように王妃殿下に頼むって。
だから私はどういう経緯で呼ばれた人になるのかなって?」
「ロマネスの友人で婚約者のパトリシアの友人でもあるってとこかな」
「マリア達と一緒に行ってもいいの?」
ドレスとか全部モリソン商会にお預けしているし。
「つうか、王家のお茶会って何を着ていけばいいの?
制服じゃだめ?」
前世なら制服が正装なんだけど。
冠婚葬祭なんでもいける。
「制服は……、だめかな」
「やっぱだめか」
「……僕が用意しようか?」
ヨシュアに言われてぎょっとする。
「あ、そんなに困っているわけじゃない!!
お父様に相談できるけど、お父様もこういうことに詳しくないし……。
マリアのお母さんに聞いてみる。
で、いつ頃?」
「5月の初旬」
「わあ、1ヶ月後か! 神寮のお茶会より前だ!
まあ、女神寮のお茶会とかなりずれてて良かったね。
いいヒントやアイデアもあるかもね!」
その夜、ヨシュアと一緒にマリアの部屋に押しかけて、王妃殿下のお茶会の話をした。
「そのお茶会って、5月だからガーデン? 白いドレス縛りとか?」
マリアがヨシュアに質問する。
「いや、どうだろう……」
「ちゃんとした情報がないと何とも言えない。
うちに招待状ついてるかも? 今度の休み家に行こう」
「ありがとう、マリア。
じゃあ、それまでにお父様にお茶会の服を……、必要なら新調したいとお願いすればいいのかな……」
「そうね。そうすればモリソン商会の方で準備できるわ」
「うん、きっとお願いすることになると思う」
ああ、他にも相談しなきゃならないのに……!!
うーん、なんか、気が重い。
私が考え込んじゃったからか、ヨシュアが気にしている。
マリアが思い出したように言った。
「そういえば、ペスカ。5年の授業いくつか取ったりしてる?」
読んで下さり、ありがとうございます。