102 ステファン第2王子
どうぞよろしくお願いします。
私はお父様とフレイに「では、学校で!」と挨拶し、アリエスさんを残して竜舎を出た。
外を歩きながらキャロラインさんに「アルベルトさんとリーフにご挨拶できました?」と聞いてみると、うーんという表情で答えてくれた。
「お父様からドラゴンは本能で相手を選ぶって聞いたから、本当かどうか試してみようと思ったの」
あー、アルベルトさんとリーフが本当にアリエスさんを気に入るのか試したってこと?
アリエスさんのため?
キャロラインさんの本心がいまいちわからなくてマリアを見た。
「アリエスのことが心配だったんでしょ」
「まあ、それもあるけど、もしかしたら、私が選ばれるってこともあるかなって」
ほう、そういう感じもあるんだ。
でも、アルベルトさんのことはそれほどでもない。ちょっとめんどくさそうな感じがした。
男の人の前では雰囲気替わる人?
騎士団の門の前まで来た時、上空をオーバとジョイが飛ぶ音と姿に気がつき、見上げる。
ふたりが1回旋回して手を振ってくれた。
私とマリアも振り返す。
「フレイとオーバも上手になってきたね!」
マリアの言葉にミクラ団長が言った。
「フレイが最近落ち着いてきているからな」
騎士団には守護神が神の騎士と、魔神の魔法騎士と両方いる。
ザカリー先輩とエースとロマーナ先輩は魔法騎士だ。
ステファン王子は18歳で、騎士だそう。
ちょうど私達が入学する前に卒業されたんだな。神寮か。
騎士なら、ヒーラーいたんじゃない?
でも、パーティーではひとりでいたみたいに見えたし、ヒーラーとはそういう感じではなかったパターン?
ミクラ団長が一緒だからすんなり中に入れてもらえ、練習場の方へ案内された。
若い騎士が練習というか訓練していて、エースもロマーナ先輩もいた。
「ステファン王子殿下!」
隣のキャロラインさんが急に叫んだのでびっくりした。
エースとロマーナ先輩がこちらに走ってきてくれ、私達は挨拶した。
「騎士団まで来てくれたんだ!」とエース。
「ええ、騎士団にもってペスカが言ってくれて」とマリア。
「ああ、ペスカ、ありがとう!」
エースに感謝してもらっちゃった。
ミクラ団長が騎士団長に声を掛けたら「休憩!」と号令が掛かった。
マリアとエースは話を始め、ロマーナ先輩と私が話をしていたらステファン王子がやっとこちらに来た。
「ステファン王子殿下! 新年もどうぞよろしくお願いします!」
キャロラインさんが挨拶したが、不思議そうな顔をされる。
「えっと…、君は?」
そして私の方を見る。
「君はペスカ、だよね。ピンクのドレスでジョシュアと仲良さそうにしてた」
キャロラインさんが不機嫌な顔になる。
「こちらキャロライン様です、モリソン男爵家の!
ダンスに誘っていただいた、赤いドレスの!」
なぜ、私がこんなに必死に……!?
「あ!! パーティーの! ごめん!
服の感じが全然……、雰囲気が違うから! すまない!」
……だから、緑着なきゃよかったのに……。
でも、ほっとした。
これでキャロラインさんから離れられる。
この状況で一緒にいるとなんか変な気を遣ってしまい、ちょっと疲れる。
家で過ごしていた時は気がつかなかったけれど、キャロラインさんって、マリアやアリエスさんとは違うタイプなんだな。
家族以外の、特に若い男性がいる場所だと人が変わるというか……。
ロマーナ先輩が「ペスカ、ちょっと話に付き合ってくれるか」と言い、歩き出した。
私はミクラ団長に報告しとこうと思って、ロマーナ先輩の本名を思い出せず困った。
あれ、ロマ……、なんだっけ?
慌ててマリアに叫んだ。
「ロマーナ先輩とちょっと話してくるね!」
マリアが手を挙げて応えてくれたので、安心してロマーナ先輩の後を追った。
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