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10 お茶会の偵察

どうぞよろしくお願いします。

 エースが私の手を取ってくれた。


「髪型が違うだけで見違えるね。

 いつもかわいいけど、今日はきれいって感じだ」


 いや、そこまで褒められるのも……、うれしいけど、恥ずかしい……。


 赤くなりながらフレイを見ると、ヨシュアの髪を見て大笑いしてた。


 フレイが近づいてくると私の手をエースから受取るようにして歩き出した。

 エスコート、だね。


 マリアはエースが手を取って何やら話しながら歩き出している。


「何、赤くなってんの? エースに褒められた?」


 私は頷く。


「褒められすぎて恥ずかしいけど、うれしかった」


「あー、エースは妹がいるから、そういうの上手いよな……。

 俺もぺスカが来てくれてうれしいよ」


「あー、そのおかげで女神寮のお茶会復活実行委員になっちゃったけど……」


「何、それ?」



 私達はテーブル席に案内されて座った。

 1年生かな。ちょっとぎこちない感じで、お菓子とお茶を並べてくれた。

 初々しくてかわいい。

 

「ありがとう」


 お礼を言うととてもうれしそうに微笑んでくれた。


 頂きながら、招待状が届いた日のことを話す。


「へー、お茶会合戦か! そういう風に考えるとなんか面白いな」


「フレイ達は1年の時、お茶会あったんでしょ?

 どうだった?」


「あー、1年は招待できなくて、あーやってスタッフ参加なんだよ。

 2年からは招待できるから、招待した人が来た時だけ客側になれるんだ」


「じゃあ、たくさん招待したら、たくさんお茶やお菓子食べられるね」


 エースが笑った。


「ペスカならやりそうだけど、ひとり2名までしか招待できないから。

 それも同時にね。

 だから今回、フレイと俺で、ペスカとヨシュアとマリアを招待したんだよ。

 一緒に来て欲しいから招待状も1枚にしてね」


「そうなんだ。

 一緒に呼んでくれてありがとう。

 私達もお茶会開けたらエースとフレイを招待するからね」


「へー、そりゃ楽しみだな」


 フレイがそう言ってお茶を飲んだ。


 なんだかこのまままったりと時間が過ぎればいいなとすっかり油断してしまった。


 マリアがエースに厨房の方はどんな風に生徒が入っているのかなど質問して、ふたりで見学に行くことになり席を立った。

 

 私はその間会場の方の生徒の動きを観察して気がついたことをメモることにした。


 1年生が会場内の給仕メイン。

 ひとり2名まで同時招待できる。係のある1年生は招待できない。

 2年生以上は招待客が来場時、休みを兼ねてお茶を一緒に。

 お茶は紅茶で、お菓子はケーキにクリームを添えて、クッキー付き。

 飾り付けは白リボンと色とりどりの花で明るい感じで素敵。


 なんてメモっているとフレイが覗き込んでくるので気になって「見ないでよ」と言うと笑われた。


「1年の時、給仕係をやるためにさ、テーブルマナーに詳しくなるんだよ。

 俺はそれがとてもよかったよ」


「そうなの?

 そういう狙いもあるのかな……」


 フレイがふっと微笑んだ。


「ペスカの癖だよな。『そうなの?』『そうなんだ』って。

 よく言うよな」


 ヨシュアが言った。


「確かにペスカ、よく言うよね。

 でも、ペスカにそう言ってもらえると、話をちゃんと聞いてもらえている気がして、僕は好きだよ」


「ふふふ、ありがとう、ヨシュア」


 私はヨシュアに笑いかけた。


「俺だってペスカの」


 フレイが言いかけている途中で「おー、ヨシュア!」と大きな声がして、マリアが座っていた私の隣の席に男の人が座った。


「ロマーナ先輩……」


 ヨシュアの呟きに私はその人をまじまじと見てしまった。

 

読んで下さり、ありがとうございます。

いい感じのお茶会なのに、ロマーナ先輩の急襲!

でも、フレイ、これも狙いだったんだよね?

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