表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/14

合コンの夜

 週末の夜、カジュアルなレストランで、吉野、柏田、小早川の3人は、相手の専門学校生3人と向かい合って座っていた。


「浪人してるんだ? すごいね、頑張ってるんだね!」


 ショートカットの明るい子が目を輝かせながら言った。吉野は少し驚いた。今まで浪人していることに対して後ろめたさしかなかったのに、こうして尊敬の眼差しを向けられるのは悪い気がしない。


「いや、まぁ……。なんとか……」


 もごもごと返事をしながらも、彼女たちの興味が自分に向いていることが新鮮だった。柏田と小早川のフォローもあり、会話は弾んでいた。彼らは大学で鍛えられたのか、女の子たちを巧みに笑わせ、時折吉野にも話を振ってくれる。そのおかげで、吉野も緊張しながらも話に参加できた。


 料理とお酒が進むにつれ、店内の照明が柔らかく感じられた。テーブルの上にはカクテルのグラスが並び、笑い声が絶えなかった。こういう雰囲気は初めてだったが、悪くない。むしろ楽しい。


 そして、一次会が終わるころ、柏田がさりげなく切り出した。


「このあと、どうする?」


「んー、どうしよっか?」


 女の子たちが顔を見合わせる。特に反対する様子もない。すでにいい感じに打ち解けていたし、空気は自然と次の展開へと流れていった。


「せっかくだし……。みんなで行っちゃう?」


 誰が言い出したのかは分からなかったが、その一言で決まった。


 吉野は心臓が高鳴るのを感じた。まさか、自分がこんな展開に巻き込まれる日が来るなんて。




 繁華街を歩き、ネオンの輝くラブホテル街へと向かう。エントランスの自動ドアが開くと、受付に並ぶ部屋のパネルが目に入った。どの部屋もそれぞれ雰囲気が違う。スタイリッシュなもの、和風のもの、カラフルなデザインのもの。


「じゃあ、ここでカップル決める?」


 柏田がニヤリと笑う。自然な流れの中で、三組のペアができた。吉野の相手は有紗になった。


 有紗は、細身でスタイルが良く、セミロングの髪が印象的な子だった。店内でも時折目が合っていた気がする。吉野はドキドキしながら、彼女と並んでエレベーターに乗った。扉が閉まり、二人きりになる。


(俺、本当にこれから……?)


 現実感が追いつかないまま、エレベーターは静かに上がっていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ