合コンへの誘い
吉野は、毎日予備校の自習室にこもり、参考書とノートに囲まれながら孤独な戦いを続けていた。現役で大学に進学できなかった悔しさを胸に、来年こそはと必死に勉強している。友人と呼べる相手も少なくなり、日々の楽しみといえば、昼食の時間にコンビニのパンをかじることくらいだった。
そんなある日、高校時代の同級生である柏田から突然LINEが来た。
『週末、合コンするから来いよ』
柏田は今、一流大学に通い、サークル活動やアルバイトに精を出しながら、華やかなキャンパスライフを謳歌している。もう一人の友人、小早川も同じような生活を送っており、二人とも大学に入ってからすっかり垢抜けていた。彼らのSNSには、楽しげな飲み会や旅行の写真が並んでおり、それを見た吉野は、遠い世界の出来事のように感じていた。
合コンか……。
吉野はスマホの画面を見つめながら躊躇した。受験勉強に集中しなければならないし、そもそも自分が合コンなどに参加しても浮いてしまうのではないか。彼女いない歴イコール年齢。女子とまともに話した経験もほとんどない。どう考えても場違いだ。
しかし、柏田はそんな吉野の不安を軽くあしらった。
『大丈夫、大丈夫。小早川も来るし、気楽に楽しもうぜ』
『相手は簡単にヤらせてくれそうな子たちなんだ』
その言葉に、吉野の胸がざわついた。今までの人生で、そんな機会は一度もなかった。自分がモテるとは到底思えないが、もしかしたら、今夜が何かを変えるチャンスになるかもしれない。
『わかった。必ず行く』
吉野は、少しの期待と大きな不安を抱えながら、合コンへの参加を決めた。