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あたしの恋人  作者: 紫月 飛闇
Season1 始まりと出会い
27/86

番外編:最初の作戦会議





和馬と実が暮らす町の駅前にある喫茶店<ルーン>。

彼らは高校のころから、集まるのはいつもここだった。



だから、怪盗夜叉を始めることを決めたのもここだった。

『怪盗夜叉』と命名したのもこの喫茶店。



・・・そして、この名前を決めたのも、ここでだった。





「コードネーム?」

和馬がすっとんきょんな声をあげる。実は真剣な表情で頷いた。

「そうだよ。まさか怪盗として動いている間、通信機で本名を呼び合うわけにはいかないだろ?」

「そりゃまぁ、たしかに・・・」

宗次と里奈も、実の言い分にはあっさりと頷く。



「で?そのコードネームはどうやって決めるんだ?」

実と幼馴染の和馬が尋ねれば、彼はひょいっと肩をすくめた。

「それを決めるために今日は集まってもらったんだけどね」

「へ?コードネーム決めるためだけに集まったのか?<シリーズ>のなにかがわかったんじゃなくて?」

「<シリーズ>の情報収集は宗次に頼んだよ。な?」

「おうとも」

実が宗次に視線を向ければ、即座に宗次はそれに答えた。



「パソコンを駆使して、<シリーズ>の情報を集めてやるぜ~!!」

「ふぅん。おまえがメカに強いことは知ってたけど、そんな危なそうな情報収集までできるもんなのか?」

「ちっちっち。和馬君、この俺を甘く見るなよ?」

「はいはい、よろしくお願いしますよ」


少々投げやりに和馬は言うと、何やら考え込んでいる里奈に視線を向けた。

「里奈?大丈夫か?やっぱりやめたかったらいつでも抜けていいんだぞ?」

「・・・え?」

「いや、なにか考え込んでたから・・・・・・」

「あぁ、違うわよ。抜けたいなんて思ってないわ。というか、抜けろと言われても抜ける気はないわね」

「じゃぁなにを・・・・・・」

「実君の提案通り、コードネームを考えてたのよ?」

「あ、そうか、コードネーム」

「言いだしっぺの実はなにか案がないのか?」

宗次が実に問いかければ、彼は困ったように首を傾げた。



「そうだな、オーソドックスに、色の名前とか、動物の名前、とか思ったんだけどな」

「ん~!!それじゃおもしろくないよな~!!」

「じゃぁ、臓器の名前とか?」

「・・・・・・いえ、遠慮させてください、医学生さま」

「コードネームなんかなんだっていいんじゃん?」

気のない様子で紅茶を口に運ぶ和馬を、宗次はじろりとにらんだ。



「だめだぞ、和馬。まずは形から入らないと!!怪盗夜叉は紳士的でカッコいい存在になる予定なんだからな!!コードネームもかっこよく!!」

「・・・あの白マスクでカッコいい存在とかになれるのか?!」

「なるんだよ、努力しろよ、和馬」

「・・・・・・俺はそんなもののために怪盗をやるんじゃないだけど?」

「ちっちっち。甘いな、和馬。ファンがいなけりゃ、誰も注目してなんかくれないぜ?」

「ま、宗次の言い分も一理あり、だな。注目を集めないと、組織の連中は尻尾を出さないだろうし」



飄々と実はブラックコーヒーをすする。

そんな3人の様子を見ていた里奈はふと、それぞれの飲み物を眺めてみた。



実はブラックコーヒー。

和馬はホットのアールグレイ。

宗次はカプチーノ。

そして里奈は、アイスでダージリン。




「ねぇねぇ!!」

里奈は自分の浮かんだ案がとてもいいものだと確信し、まだ平行線な言い合いをしてる3人を呼びつけた。

「飲み物は?せっかくここで怪盗を始めることも決めたんだし、ここのメニューでコードネームを決めましょうよ!!」

「飲み物?飲み物をコードネームにするのか?」

「そうそう!!実くんはブラックコーヒーだから、<ブラック>。和馬は<アールグレイ>。私は<ダージリン>。で、宗次は・・・・・・」

「俺は<カプチーノ>なんてダサいコードネームは嫌だからな」



きっぱりと宗次は里奈の言葉を遮って断る。

「・・・なんでよ?」

当然だが機嫌が急降下した里奈に、宗次は憮然とした態度をとる。




「好きな飲み物をコードネームにするなら、俺はカプチーノじゃない」

「なんで?いつもここに来るときはカプチーノじゃない?」

「それは、俺が本当に好きな飲み物がここのメニューにないからだよ」

「・・・それって?」

「ビール!!!だから、俺のコードネームは<ビール>な!!」

「・・・・・・だから、それじゃぁ、里奈が提案した、<ルーン>にあるメニューでコードネームっていうところからはずれるじゃないか・・・」

「・・・いいのよ、和馬・・・」




嬉々としてコードネームは<ビール>だと言い張る宗次に呆れて突っ込む和馬に、里奈も同じように呆れてそれを止める。

実だけはそれをおもしろそうに眺めてる。




その後もいくつか候補の案が出たが、結局、自分たちの飲んでいた飲み物が飲み干される頃には、コードネームが飲み物になっていたのだった。








番外編第二弾!!

今回は書きたかった、コードネーム話(笑)

もともと夜叉を始めることになったその話は結構シリアスになっちゃいそうで、まだ書く時期ではないのですが、コードネーム命名話は書きたくてウズウズしてました(笑)

次回からまた本編に戻ります~。

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