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1 満ち足りた世界

 七色のステンドグラスがはめ込まれた窓がある、白色の壁の天井の高い建物の中。


 部屋の中央に真っすぐと敷かれた赤い絨毯。

 その両脇には多くの人々が立っているが、誰も一言も話さない。


 そんな厳かな雰囲気の中、婚礼衣装を身に纏った青年と少女が、赤い絨毯の上を歩いて行き……。


「………‥」

「…………」

 青年と少女は赤い絨毯の終点、部屋の最奥へたどり着く。

 そこには、木製の机と立派な髭を生やした礼服の老人が立っていた。


 青年と少女は足を止めた。

 それを見た礼服の老人は、何も言わずに一つ頷くと……。


「これより、婚礼の儀を執り行う」

 部屋の中に響く低い声で、そう告げた。


「…………」

 青年は真正面を見据えたまま、固い表情を見せている。

 だが切れ長の目には、穏やかな光が満ちていた。


「…………」

 少女は少し下を俯いたまま、優しい笑顔をしている。

 目は閉じているが、とても満ち足りた雰囲気がしていた。


「…………」

 そんな中、少女は顔をあげて、ゆっくりと青年の方を向いた。


「…………」

 その行為に合わせて、青年も少女の方を向いた。

 窓から差し込む七色の光によって、青年の顔は見えなくなってしまう。


「……あなた」

 少女ははにかみながら、そう告げた。


「……これからも頼むぞ。マール」

 少女の可憐で恥じらう仕草に、青年は優しくそう告げた。


「…………」

「…………」

 そして二人は、お互いの口づけを交わし、誓い合った。


 こうして少女と青年は結ばれた。

 誰もが二人を祝福し、新たな人生の門出を喜んだ。


 だが、ここに至るまでには多くの苦難があった。

 これから語られるのは、少女マールの苦難の旅路である……。

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