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俺ってもしかして…背後霊?

零理はしばらく考えてから、

「よし、試してみよう。」

と、手のひらをポンと打った。


『何を?』

「優斗さん!僕の後についていくイメージをしてみてください。」

『ついていくイメージ?』

「はい。僕の背中を追いかけるイメージです。」

『背中を追いかける?』

「はい。そうです。やってみてください。」


よく分からないが、それで会いに行けるならやってみよう。

俺は、心の中で、零理についていくイメージと零理の背中を追いかけるイメージと強く思い描いてみた。

すると、前に出そうと思っても出なかった足が自由になっていくのを感じた

あれ?俺の足動く?


「やった!よかった。それでは、僕の肩に手を置いて後をついてきてみてください。」

言われるまま右手を零理の左肩に乗せてみる。


あれ?零理のこと触れている?

感触はないが、なんだか零理にくっついているような感覚がする。

それから、零理と一緒に歩き出す。


『おお、歩いている!あの場所から動けたぞ!』

嬉しくてはしゃいでいた。


「よかったですね。でも、まだ手は離さない出くださいね。思いが強いのか、優斗さんがあの場所に戻るイメージが、僕にはまだあるので。」

『う、うん。わかった。』

零理の肩に手を置いて歩き出すと、景色がゆっくり変わっていく。

ああ、ここに圭太がいたんだ。

俺たちの通学路。


少し歩くと、ふと変な考えが浮かんだ。気になって、それを零理に投げかけてみる。

『あのさ、零理。一つ聞いていいか?』

「何?」

『今の俺ってさ、零理の背後霊みたいじゃね?』

恐る恐る、零理に思いついたことを聞いてみる。


すると、零理はなんでもない様子で、

「みたいじゃなくて、優斗さん、今、僕の背後霊ですよ。」

なんの躊躇もなく、あっさりと答えた。


『そんなあっさりと…。』


そうかもな、とは思ったけど、こんなにキッパリと“そうですよ”と、肯定されると、なんだかいたたまれない気持ちになった。


『そっか……俺、今、背後霊やってるんだな。そっか……。零理の背後霊にならないと、あの場所から動けないのか……。』

しょんぼり項垂れて、ぶつぶつ呟きながら、零理から離れずついていく。



「優斗さん、会いたい人の家はわかりますか?」

『ああ、分かるよ。』

「ここから近いですか?」

『ああ。歩いて15分ってとこだ。』

「では、まず、その方の家に行ってみますか?」

『いいのか?』

「はい。僕にできることは、このくらいしかないので。」

申し訳なさそうに零理が言った。


『い、いや。ありがとう。ここ数日誰も俺の声に反応しなくて、誰も俺をみていなくて本当はとても心細かったんだ。だから、今、零理がこうして俺といてくれていることが、何より嬉しい。』

「よかったです。それでは道案内をよろしくお願いします。」


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