エピローグ
帰り道、零理と圭太は、『永遠の仲良し公園』のブランコに腰掛けていた。
「玲央はしばらく寝たきりだったから、歩くリハビリとか大変かもしれないけど、まだ小学生だから、回復も早いって看護師さんも言ってたな。そしたらここで遊ぼうな。」
「うん!圭太お兄ちゃん!」
「ありがとう、零理。」
そう言って、黙ってしまった。
なかなか口を開かない圭太に、零理がしびれを切らして声をかけた。
「どうしたの?」
圭太は、零理の顔を見ると、聞いていいのか悪いのか分からないという顔をした。
「あのさ。」
「何?」
「聞いてもいいかな?気を悪くしたらごめん。」
「うん。」
「じゃあ聞くな?」
「うん。」
圭太は、大きく息を吸って、はあっと一気に息を吐いた。それから、気合を入れて零理を見た。
「お前、見えるんだよな?あのとき、あの面会の夜、玲央に向かって、死んだ優斗に会ったって言ってたよな?」
「うん。」
「この公園で1人で楽しそうに遊んでいる零理を見かけた時、本当は、優斗でも出てきて一緒に遊んでいるのかと思ったんだ。昔から、子供はそういうのが見えるって言うだろ?まだ小さかった頃、大人になると見えなくなるって言われて、今のうちに見ておかないとって、優斗と、夜中家を抜け出して、幽霊探しをしたりしたことあったなあって。そんなことを思い出していた。」
「そうだったんだ。」
初めて聞いた。
僕は、大きくなったら見えなくなるのかなあ?
今、見えるのは子供だからだという圭太さんは、子供の僕が今見えていることを信じてくれているかな?
「実はさ、俺、初めて零理にあったとき、零理の後ろに優斗が見えた気がしたんだ。馬鹿なこと言ってごめん。でもそんな気がしてさ。本当のところ、あそこに優斗…いたのかな?」
零理は、驚いた。
見えてたんだ!!
あの時…
「いたよ!」
思わず言っていた。
「いたよ。いたんだよ、優斗お兄ちゃん。圭太お兄ちゃんの言葉ちゃんと聞いてたよ!」
「え!?まじで!?」
圭太の目がまんまる。
「うん!まじで!」
零理は、真剣に答える。
圭太は一瞬固まって、それから、零理の肩をむんずと掴んだ。
「その話、詳しく聞かせろ!!」
そう言って、なぜか零理の脇腹をこちょこちょくすぐり出した。
「あはは、くくくっくすぐたっいよ!やめて〜!」
零理は、めちゃくちゃ笑いながら、圭太をポカポカ叩いている!
「やめて欲しくば、全部話すのだー!!」
「わ、分かったから!!圭太お兄ちゃん!」
そして、日が暮れるまで、優斗の話で盛り上がった。
圭太を見つけて事故にあったことだけは、胸にしまって……
「優斗、死んでもバカだな。やっぱりきっと美女に気を取られたに違いない!」
「そうに違いない!」
零理も真似していうと、
ぷっと、2人吹き出して笑い転げた。
「優斗のやつ、死んでから小学生にお願い事って、いい迷惑だよな!零理、赤い缶を掘り出してくれてありがとな。」
零理の頭を優しく撫でた。
それから、立ち上がると、
「こらー!優斗!やっぱりお前は最高だー!永遠の仲良しは不滅だー!こんな可愛い弟まで残しやがってー!またお前のいけすかない、実物より格好よく撮れてる写真を見に、お前んちに行ってやるから感謝しろよー!!」
圭太さんは、空に向かって叫んでいた。
圭太お兄ちゃんの声、天まで届け!
そう願う零理だった。
20〇〇年4月○日午前7時頃、小学生が自宅階段を転落。意識不明の状態で、病院に運ばれる。検査の結果、脳に異常は見られず、左足の骨折と打撲以外目立った外傷はないが、意識は戻らなかった。
およそ2ヶ月後、奇跡的に意識を取り戻す。
目撃者はおらず、本人の記憶が曖昧で、事故なのか否かは、想像するほかない。




