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僕は「いってらっしゃい」と言いたい  作者: 雲母あお
君には「いってらっしゃい」と言わない

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39/42

僕たちのお兄ちゃんになって!

「さてと、説明してもらおうか?」

後日、圭太さんの家。


「あの時は、本当にご迷惑をおかけしました。」

「そんなことはどうでもいい。説明しろ!」



あの時。

圭太さんのおかげで戻って来れた。

「圭太さんのおかげで助かりました。ありがとうございました。」

「それは何回もきいた。」

「俺の部屋に来たんだから、内緒の話をしても、誰にも聞かれないだろう?教えてくれ。何が起こっていたんだ?」


零理は体に戻った後、体に戻って目が覚めた玲央に向かって「おかえり」って言うと、意識を失ってしまった。

その時、零理の携帯に母親から電話があって、すぐに伝えることができて、零理もそのまま入院した。

零理の母親には病院の名前と場所を伝えたけど、仕事があると言って来なかった。そして、次の日の朝、家政婦さんが迎えにきた。俺は心配で夜通し付き添った。母親には、事情を説明して先に帰ってもらった。


「と、これだけ迷惑をかけたのだから、説明をしてくれてもいいだろう。申し訳ないが、病室で玲央に向かって話していたことは、全部聞いていたから、幽霊の話をされても驚かないぞ。実際体験したしな。」


「体験?」


「お前たちを抱きしめた時に、何かが流れ込んできた。途中、その何かが急に弱まって切れそうな気がしたから、俺、夢中でむんずと掴んでやったんだ。そうしたら、あの公園にいるお前らが見えて、ブラックホールみたいな穴に吸い込まれそうだったから、慌ててヒモみたいなやつを引っ張って引き寄せたってわけ。そうしたら、お前らが目覚めてさ。あれは現実か?」


すごい!僕よりすごい力を持っているのかもしれない。


「圭太さんは命の恩人です。」

零理は、土下座をして頭を下げた。


「…否定しないってことは、現実、なんだな?」

零理こくりとうなずいた。


「あの黒いのはなんだったんだ?」

「あれは、寂しくて絶望した玲央の心です。」

「玲央の心?」


「はい。玲央はずっと一人ぼっちで、怪我をしても面会にこない事実を見たくなくて、面会時間に幽体離脱を繰り返していたんです。その時公園で会いました。僕は、生きた魂にあうのが初めてで、実際生きている人だと思っていたんです。でも違った。それは、圭太さんと公園で会ったときに気がつきました。」

「俺と?」


「はい。圭太さんに玲央を紹介しようと思ったら、1人で遊んでいるのかって言われて、後ろを振り返ってみると、玲央はまだそこにいました。圭太さんに見えてないんだ。じゃあ、玲央は幽霊ってことになるけど、死んでいる気配がなくて。」


「それであの日生き霊について聞いたのか。」

「はい。」


「それで、玲央の小学校の名前が出た時に、俺が知っているって反応したから、玲央からきいた学校と学年と名前で俺に調べてって言ったのか。」

「はい。」


「話を聞いた時に反応したのは、その小学校からきたやつ友達で、そいつの妹がちょうど梶尾小学校の6年生だったから、梶尾小学校って聞いた時、そいつに聞けばわかるかもって思ったんだ。」

「本当に助かりました。」


「聞いてみたら、転校初日、階段から転落。そのまま意識不明で入院中って聞いて驚いた。」

「僕も驚きました。」


「玲央は、頭に異常なし、足は骨折していたけど、他に目立った外傷もない。でも意識は戻らない。親は、入院の手続きだけして、面会にはこず、時々家政婦さんが必要なものを運んでいたようだって言ってたな。」


「面会に来てくれるかもって期待して、来ないっていう事実を受け止めるのが辛かったんだと思います。だから、その時間ここにいたくない!っていう強い思いが、面会時間の間だけ、玲央を幽体離脱させていたんだと思います。」


「そうだな。確かに、辛いだろうな。」

圭太は、あの日みた殺風景な玲央の病室を思い出してた。


「玲央は、毎日15時に公園に現れて、20時に帰っていました。病院で面会時間を聞いた時に、ひょっとしてと思いました。」


「そうだな。でも、戻って来れて意識も戻ってよかったな。」

「はい!!」

「じゃあ、そろそろ行くか?」

「うん!」


零理は、自転車で圭太のうちまで来ていた。

「じゃあ、行くぞ。ゆっくり行くから安全運転でついてこいよ。」

「わかった!」

圭太を先頭に、自転車が走り出す。


あの時から、あの黒い穴との戦いのあと、今日初めて圭太と一緒に、玲央の面会に行くのだ。



************


307号室

カラカラカラ!

勢いよく、病室のドアを開けると、

「玲央!きたよ!!」

零理は、元気よく病室に飛び込んだ。その後ろをゆっくり見守りながら圭太も続く。

零理の質問メモ帳に書きとめた、玲央の好きなお菓子をたくさん持って。


病室に飛び込んできた、大好きな2人に向かって

「零理!圭太さん!」

玲央は、とびきりの笑顔を向けた。





「本当に夢じゃなかったんだなって、今、実感したわ……。」


病室に入るや否や、圭太は信じられないものを見た、と言う顔をして呟いた。

「実感?」

不思議そうに零理が聞く。


「だってさ。俺、玲央に会うの初めてなんだけど、俺のこと圭太さんってはっきり言っただろ?」

「あ、そうか!玲央は公園で圭太さんのこと見てたから。」

「まじ見えるんだな。疑っていたとか信じていないとかじゃなくて、ただただ驚いてさ。ごめん。」

「いいえ。変わらずにいていてくれてありがとうございます。」

零理は、嬉しそうに深々と頭を下げた。


玲央は、零理の名前を呼びながら手招きしている。

「零理、零理!」

「何?」


「圭太さんに最初に会ったとき一緒に言うって決めていただろう。」

「うん!覚えていてくれたんだね!」

「当たり前だよ。」


「なんだい?俺に何か言いたいことがあるのか?」

「うん!聞いて!」


零理は、急いで玲央の元へ駆けていく。そして、2人並んで、圭太を見た。

「「せーのっ!」」

呼吸を合わせた。


「僕たち圭太さんと優斗お兄ちゃんみたいな『永遠の仲良し』になります!」

「俺たち圭太さんと優斗さんみたいな『永遠の仲良し』になります!」



「「だから、圭太さん、僕たちのお兄ちゃんになってください!!」」



「え!!?なんだ…えっと…」

突然のことで、圭太は状況が掴めずにいた。


零理がもう一度圭太にお願いをする。

「圭太さん、僕たちのお兄ちゃんになってください!」

「お兄ちゃん…?」

「「はい!!」」

圭太は、零理を見る。


「お前のお兄ちゃんは優斗だけなんじゃ…?」


零理は、にこっとわらって

「お兄ちゃんが2人いになったらもっと嬉しいなって思ったんです。だめですか?」

零理はしょんぼりした顔をする。


まったく零理には敵わない。

この状況で、ダメなんて言えるわけないだろう?

まあ、俺がそんなこと言うわけもないけど。


圭太は、ばっと両手をあげて、頭に上に大きな丸を作ると、

「もちろんいいに決まってる!弟たちよ!」



そう言って、圭太は、零理と玲央を思い切り抱きしめた。



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