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プロローグ
「お前ずっと『いってらっしゃい』って言ってきたんだろ?」
「……」
「俺にも言ってくれよ。『いってらっしゃい』ってさ。」
「嫌だ……」
黒い穴は、玲央と零理を嘲笑うかのように、また少し大きくなった。
「言わない!言わないよ!玲央には言わない!!絶対に!!」
零理は、叫んだ。
「なんだよ、ケチだな。俺には、言ってくれないのか?それとも、大好きな人にしか言わないのか?」
「僕は、玲央が大好きだから、『いってらっしゃい』なんていうもんか!!」
零理は、大きく横に首を振ると、キッと玲央を睨みつける。
「僕は、玲央、君には、『いってらっしゃい』って言わない。絶対に!!!」
「僕は、必ず玲央を見つけるって約束する!だから、玲央も約束して!!!」
零理は、ありったけの大きな声で、玲央に向かって叫んだ。




