緊張する…見るの少し怖いな…
圭太は、優斗の家を出た後、まっすぐに家に帰る気にならず、この間零理と久しぶりに行った公園のブランコに座っていた。さっき渡された紙袋をぎゅっと抱いて。
優斗は、俺に何かを伝えたかったのかな?
なんだろう。怖い。
優斗との最後が、八つ当たりの喧嘩だ。
何を思っていたんだろう。
俺は知らなくちゃいけない。
『零理、俺、圭太の近くに行っても平気かな?』
零理に掴まって、圭太の後をつけてきていた優斗が、
『圭太のそばに行きたい!』
という気持ちを、零理にぶつけてきた。
零理は、静かに目を閉じて、ゆっくり目を開けた。
「たぶん大丈夫です。優斗お兄ちゃん、いってらっしゃい!」
『うん。零理、いってくる。ありがとうな!』
優斗が、ブランコに座っている圭太の元へ駆けていく。零理は、その後ろ姿を見送る。
優斗は、玄関先でゆっくりと深く頭を下げた。
それから、
『あの公園に急いで行ってくれないか』
と、言った。
『きっと圭太は、この後あの公園に寄るはずだ。だから先回りして圭太に見つからないように隠れて待っていて欲しい。』
優斗の言葉は、正解だった。
圭太は、優斗の家を出たあと、この公園にやってきてブランコに座った。
「優斗お兄ちゃん、がんばれ!」
零理は、圭太から見えない木陰で、2人を見守っていた。
優斗が、圭太の横に立ったのが見えた。
圭太が、優斗のお母さんが持たせた紙袋から、何かを取り出すのが見えた。
圭太は、気合を入れるため、
「よし!」
と、大きな声で自分に掛け声をかけた。
それから、緊張する手でそっと紙袋を開けた。
その傍らには、優斗が立っていた。




