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思い出の公園で

「お兄さん!ブランコおして!」

「しょうがないな、少しだけだぞ。」

「やったー!」

零理は、両手をあげてはしゃいでいた。


『本当にしょうがないやつだな。俺のことはほっぽり投げて。もしかして、俺のこと忘れてないか?』

呆れた口調でちょっと文句を言ってみた。


零理は楽しそうに圭太と遊んでいる。

それを微笑ましくみている自分に驚いた。


そして、何より驚いたのは…


『あれ?零理の肩から離れたのに、俺まだここにいられている。』


会いたかった圭太が目の前にいるからか?

零理に触れていないのにあの電信柱に戻ることなく、公園にいるのだ。

零理の方を見ると、俺のことをチラッとみて、笑った。


あいつ、めちゃ楽しんでいるな。

いい根性しているじゃないか。

そう思いながらも、圭太といられている今の時間に幸せを感じていた。

圭太がいる。子供と笑って話している。


一通り、遊具で遊び終えると、

「ちょっと待った。ごめん、零理君。ちょっと座ってもいいかな?」

はあはあ言いながら、圭太がブランコに座った。

「うん!僕もブランコに乗る!」

そういうと、零理は、圭太の隣のブランコを漕ぎ始めた。


「小学生は元気だなあ。俺も体力ある方なんだけど、息が上がっちゃったよ。」

さっきまで小学生と公園中を走り回っていた圭太が、ゼーゼー言いながらブランコに腰かけ、まだ体力が有り余っている小学生を半ば呆れるように見つめていた。


「お兄さん、また遊んで!お兄さんといると楽しい!僕一人っ子で兄弟いないから、家でいつも1人で遊んでいるんだ。」

「そうなんだ。いいよ。また遊ぼう。」

「約束!」

「うん。約束。俺は、圭太。小杉圭太って言うんだ。よろしくな零理君。」

「僕は、中原零理だよ!」

零理は、元気いっぱいに自己紹介をした。


「この公園は、親友とたくさん遊んだ公園なんだ。」

「親友?」

「ああ、優斗っていってね、幼稚園からずっと一緒だった。」

だった、と過去形で話す圭太が何だか寂しそうだった。


「仲良しなの?」

「うん。仲良しだった。」

「優斗も零理みたいに、この公園をめいいっぱい走り回ってたな。」

圭太は、その頃のことを思い出したのか、遠くをみるような目で、小さく笑った。


「今も仲良し?」

零理が聞くと、

「うん。“永遠の仲良し“なんだ、俺たち!」

そう言って、圭太は、寂しそうに笑うのだった。


公園をでて、ここから15分くらい離れた〇〇公園へと向かう。

「ずいぶん遠くまで来たなあと思ったけど、あれだけ走り回る元気さがあれば、あっという間にさっきの公園に着いちゃいそうだね。」

笑って言う圭太に、


「そうなの!走り回ってたら、あそこにいたの!」

嬉しそうに言う零理。


「でも、気をつけるんだぞ。世の中悪い人もいるんだからな。」

「うん!僕、気をつける!」

零理が素直に言うと、

「よしよし、いい子だ。」

と、頭を撫でながら、


「俺も、恥ずかしがらないで、あいつに素直に言えればよかった。」


圭太は、ぼそりと、後悔とも反省とも取れる言葉を吐き出した。


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