2.町へ
この小説はASMR動画を拝聴しながら書いております。
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私のモチベにつながるので。
神頼み。という言葉がある。
もう自分の力じゃどうしようもないときに神様にお祈りをして
助けてもらおうという最後の頼みの綱みたいなものだ。
受験に合格したいとか、手術が成功してほしいとか、願いは様々で都度神様に対し成功を祈願する。
でも日本は無神論者が多い国だと思う。
海外では信仰する神に向かって毎日お祈りを捧げているが、少なくとも私の周りにそういったことをしている人はいなかった。
そう考えるとなかなか虫のよすぎる話だと思う。
普段は全然信じても、崇めてもないモノに対して
自分のピンチの時には助けを乞うのだから。
だから私は普段から神様になにかをお願いしたりすることはなかった。合格祈願にもいかなかったし、初詣もほとんど行ったことはない。
たまに人付き合いで神社へ付き添ったりしたことなどはあるが本気で願いを込めたことなどなかったと思う。
しかしそんな私が。本気で祈りをささげる。というか懇願する。
「神様ぁああ!!お願いです!今すぐおうちにかえしてください!!!」
我ながら薄情だと思う。そんな私をあざ笑うかのごとく、私の叫びは空へ散り、静寂だけが辺りに残る。
「神様ってそんなどこにでもいるわけじゃないよ。まぁ僕らのことは見てるだろうけど。」
「じゃあ!どうすれば!耳かき・・・するっていっても場所がわからなきゃ・・・。」
「神様は普段は眠っているんだ。有事の時のために力を蓄えているんだ。」
「もしかして・・・場所知ってます?」
「もちろんさ。君の手助けになることならなんでもわかるよ。」
「じゃ、じゃあ!いますぐそこまで連れて行ってください!」
「連れて行ってもいいけど・・・遠いし危ないよ?」
「あ、あぶない・・・?」
「うん。ここ、異世界だから魔物もでるし。」
「そんなぁ・・・って!じゃ、じゃあここも危ないんですか!?」
「ここは町の近くの森だし危ない魔物はいないよ。」
「よかった・・・。」
魔物。そんな恐ろしい世界にわざわざ招かなくても。と思うがそもそもどんな世界でも勝手に連れてこないでほしいものである。
「魔物と戦うにはどうしたら・・・?」
「え?戦うのぉ?危ないしやめときなよ。」
「あ、あなた神様がくれた私の特別な力?なんでしょ!じゃあ魔物くらい・・・。」
「だから、僕ができるのはダミーヘッドマイク本来としての役割と、すこ~~~しアドバイスができるくらいだって。」
「だからなんなんです!ダミヘ本来としての役割って!!」
「それはあとのお楽しみ。」
ダミヘは不敵な笑みを浮かべている。
暗闇でその表情は本当に気味が悪いからやめてほしい。
「魔物と戦う力もない。でもそんな危険な場所にいかないと帰れない。どうすればいいんですか?八方塞がりじゃないですか。」
「そうだな。とりあえず、町へいってみよう。ここからそう遠くないし。ここで野宿するのは嫌だろう?」
町・・・・か。
正直とても不安だ。
見知らぬ土地、見知らぬ人々。
そもそも言語は通じるのだろうか。お金は?
こんな格好を見られて変に思われないだろうか。
「いろいろ不安そうだね。大丈夫君が考えてるようなことは大抵僕が解決できるからさ。」
なんでそんな自信ありげなのだろう。私の代わりに会話でもしてくれるんだろうか。
というかこんなモノをもって歩いているのが一番不審に思われそうだ。
傍からみたら生首にみえなくもないし。
だが・・・
「わかりました。とりあえずあなたの言うとおりにしてみます。」
「おっけーい!町はあっちだよー。」
そういうとダミヘは手の中でくるりと回り彼女の進行方向と同じほうを向いた。
彼女はゆっくりと腰を上げ、ダミヘが向いている方向へと歩き出した。