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0.配信準備

「今日もみんな遅くまで聴いてくれてありがとね~。寝ちゃってる人もまだ起きてる人もおやすみなさい。おつみくるーん。」


みくるんこと久瑠美 繰(くるみ くる)は配信者だ。


現代の日本において、配信業というのは一つの職業といって過言でないレベルにまで浸透していった。


そのジャンルは多岐にわたり、雑談、ゲーム配信、うたってみた等々...。


そしてみくるんが行っている配信のジャンルはASMR配信である。


ASMRとはAutonomous Sensory Meridian Responseの略で


人が聞いて心地が良い、ぞわぞわするといった感じの音をだす動画等のことだ。


彼女はダミーヘッドマイクという機材を用いてささやいたり、マッサージをしたりすることでそれを配信上で聴いた人が


本当に近くでささやかれていたり、マッサージされている感覚を得ることができる。


彼女はそんなASMRというジャンルの配信で大手配信者といっても過言ではない地位にまで達していた。


「さてっと、明日の配信の準備してねよっと~。あ、その前にさっき配信でノイズはいったっけ・・・マイクの接続のせいかな~・・・。」


彼女は今終了したばかりの配信のアーカイブを見る。


「いつ頃だったかな・・・。確か配信始めて1時間経ったくらいだった気がするんだけど。」


そして該当のシーンまでシークバーを動かしノイズが入った部分を探す。

ASMR配信にとってノイズとはあまり許されたものではない。

飲食店に虫が湧いているようなものだ。些細なことでもリスナーは離れ、人気はどんどん低下していく。


彼女は繊細な音作りをし聴いてくれているリスナーのためにならクオリティを上げること努力は惜しまなかった。


ゆえにその日犯したミスなどはその日のうちにフィードバックをし、日々成長していくのだ。


こうした努力こそが人気配信者となる秘訣なのかもしれない。


「あれ~この辺だったはずなんだけどな~。でもそういえばリスナーさんだれもノイズのこと気にしてなかったし私の勘違いだったのかな。」


しかしその直後


パツッ!パツッ!


とまるで火花でも散るかのようなノイズが繰の耳に響いた。


「え!なに!?こんな大きいノイズ入ってたのに誰もコメントしてなかったの?」


驚いた彼女はつけていたヘッドホンを勢いよく外し画面をみていた。


「こんなんじゃアーカイブ残せない・・・不安だし他の部分も確認しないと。」


とアーカイブの続きを見ようと再生ボタンを押そうとして気づいた。


「え、なにこのスパチャ。私この人のこと気づいてあげられなかったんだ・・・」


そこには同じ文言で3回スーパーチャット(投げ銭)をしていたユーザーのコメントがあった。


『あなたの大切なものと一緒にきてね!』


それの下にはリンクが貼られている


「え~これ確認しないわけにはいかないよね・・・100%スパムっぽいけど3回もスパチャしてくれてるし、お礼言いそびれたツイートもしなきゃなんないし・・・。」


彼女は恐る恐るリンクを開く。


「これでブラクラとかだったらBANしてやるんだから・・・。」


その瞬間。

画面が真っ暗になった。



画面だけでなく、部屋全体が暗くほとんどなにも見えない状態になってしまった。


「え・・・どういうこと、ウイルス・・・?こわいよ・・・。」


繰の家は一人暮らし、叫んだところで誰も助けには来ない。


「とりあえず電気つけなきゃ。」


そうして近くにおいてあったスマホをとった。

だが先ほどまで充電していたはずのスマホの電源はつかない。


「え・・・なんで・・・」


繰の混乱に拍車がかかる。

だがそんな久瑠美を後目に状況はさらに一変する。


なんとすべての家電の電源が落ちているにも関わらずモニターが光ったのだ。


ひっ!と軽い悲鳴を上げつつ画面を見るそこには先ほどのコメントが書いてあった。


『あなたの大切なものと一緒にきてね!』


「これなんなのよ・・・!大切なものって・・・。」


その刹那、画面がまた暗転したかと思えばとてつもない勢いで画面へと引きずりこまれそうになった。


なんとか抵抗すまいと久瑠美は近くにあった重そうなものを掴む、あまり目は見えないが存在感のあるそれはしかし、あまりにもむなしく中空へ浮き、繰と共に画面の中へと引きずりこまれていってしまった。




タイトル思いついたので書きました。

もし好評なら続きかくかもです。

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