表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

93/153

93 決着

()()()()()()()

 

 タァァァアアアン!!

 

 消音器(サイレンサー)付きのスナイパーライフルから放たれた無慈悲な一撃は寸分狂うことなく心の臓を穿ち貫く。

 

「カ、ハッ……!!」

 

 その様子を立ち上がりながら一瞥しつつ無数の猟銃でその骸を撃つ。

 

 ダダダダダッダアッッダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッダダダダ!!

 

「ハア、ハア、ハア……。」

 

 緊張の糸が切れる。

 プツリ、と。

 

 ドサッ。

 

 残念騎士が膝から崩れ落ちる。

 

「死、死ぬかと思ったぁ。」

 

 残念騎士の呟きに、軽く頷くと拳銃を出し未だ土煙に包まれる死体に照準を向ける。

 警戒は解かない。

 人生初と言っていいほどの難敵、強敵だ。

 下手をすれば今の一撃でも死んでいない可能性すらある。

 

「おい、警戒は無用だ。」

「なぜ?」

 

 強欲の言葉に視線を向けずに応じる。

 

「簡単な話だ。ついに飛び込んだ。監獄にな。」

「何?」

 

 思わず聞き返す。

 

「ハッ、貴様の頭では理解できなかったか? 我はこう言ったのだ。ついに、『女神教の大聖堂地下に存在するダンジョンに飛び込んだ。』とな。」

「そう、か。」

 

 その言葉を聞き、手の拳銃を消すと同時に背中から地面に倒れ落ちる。

 急速に冷える体と、震え出す足がいかに自分を小物か、解らせてくれる。

 

「よくやったものだ。最低100はいる軍勢を相手に殆どを瞬殺するとはこの我でも難解な物。さらには、未熟の身ながらも階位持ちを倒したものだ。大金星と言えるだろう。」

「御託はいい。それより、ここはどこだ?」

()()()()

 

 耳に飛び込んできた言葉に顔が惚ける。

 

「は?」

 

 さまざまな思考が頭を駆け巡った結果、その言葉が口から出る。

 

「分からんと言ったのだ。」

「おい、おいおい。それはねえだろ。」

「ハッ、力技でもダンジョンの亜空間を突破し無理矢理ながらも侵入したことを褒めずに現在地が解らぬとこの我を責め立てるか。」

 

 片眉を上げ、侮蔑するかのように見る。

 

「いや、俺が悪かった。空間を破る難易度は分からねえが少なくともあの短時間で仕上げたんだ。それで十分だ。」

「ハッ、そうか」

 

 それだけ言うと、強欲も座り込む。

 

 しばらく、無言が続く。

 互いに何も言わずに、体を休めるだけだ。

 

「ねえ。」

 

 不意に、残念騎士が声を上げる。

 

「……。」

 

 五月蝿そうに、顔を顰める二人だが彼女が指差す方向を見て慌てて飛び起きる。

 

「あれって……、もしかして……。」

 

 見覚えのある修道服。

 その集団が行進してくる。

 

「隠れろ!!」

 

 強欲が小さな声でそう叫ぶと姿を消し同時に角内は岩影に、残念騎士も後に続く。

 

 しばらく後に、100メートル程度先にその行列が行進しているのが見える。

 

「もしかしてあれって……、聖団?」

「なんだそれ。」

 

 互いに小声で話し合う二人、そこに手で頭を叩く強欲。

 

「今は、そんな事どうでもいい。それよりあっちを警戒しろ。」

 

 その言葉にハッとしまた息を顰める二人。

 

 1分………、2分………、3分……、

 

 その集団は中々離れず何かを探すかのように歩き回っている。

 

 30分は経っただろうか。

 その集団は、諦めて何処かへと立ち去っていった。

 

「ふぅ、死ぬかと思ったわ。」

 

 残念騎士がそう呟き、それに同意するかのように角内は頷く。

 その2人の様子を苦々しく見ているのは強欲だけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ