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91 劣勢

「タイプ1、展開!! 射線に入んなよ!!」

「貴様こそ、我の邪魔をしてくれるなよ?」

 

 互いにそう言うと、片方からは轟音(銃声)が轟き、片方からは大量の煌びやかで輝かしい武具が一斉に掃射される。

 近寄ってくる有象無象は、鉛玉か神をも恐れぬ武器によって薙ぎ倒される。

 

 まさに、蹂躙。

 まさに、殺戮。

 

 2人の周囲に至ることはなく、姿を晒した瞬時に鉄砲玉か綺麗な武具が頭部に飛来しトマトを地にぶつけたように破裂する。

 

「チッ、想定以上だ。」

「舐めて掛かると十も数えぬうちに参るぞ。何せ、事態は未だ我らの方が劣勢(・・・・・・・)なのに変わりはないのだからな。」

「分かってる。少なくとも俺のスキルは無尽蔵の銃から無限の弾を出すモノだ。物量戦で俺が負けることはあり得ない。」

「ハッ!! 頼もしい言葉だ。虚勢がいつまで続くか見ものだなぁ!!」

「強欲、口より手を動かせ。幾らコチラが物量戦で負けないとはいえ本体の俺らを直接狙われた……、チッ!!」

 

 矢が飛来する。

 距離は、訳5キロ先から。

 

「バレットM82タイプのBarrett M82狙撃手を撃ち抜け!!」

「チッ、もう出てきやがったか!! 我の力ではあそこの奴等は届かん!! 貴様の守りに我は徹するから確実に殺せ!! 我らの勝利条件はただ一つ。我のスキル展開時間を稼ぐことだ!!」

「わかってる!! 口よりスキルを動かせ!!」

 

 あたりの一般人はもう、とうの昔に消え去りもしくは殺されここには骸の山が築かれ始めた。

 爆音、轟音が轟き言葉を聞き取れるかもそろそろ怪しくなり始めた。

 消音器(サイレンサー)付きの銃のみと、選り好みをしていてはそれこそ物量で覆されない可能性すらあるのだ。

 言葉通り、全霊全力を以て角内と強欲は福幸を救うため武装を空中に大量に展開し始めたのである。

 

 

「魔力を感知したぞ!! 御子位10000以上を想定しろ!!」

「了解、タイプ4!! 大型魔獣想定武装展開!! 引き続き、タイプ1継続!! タイプ2!! 暗殺形態想定武装展開!! 半径1キロ以内の動体を確実に狙い撃て!!」

「半径1キロだとっ!! 狭すぎる!! せめて3キロ以内の生命体を死滅させろ!!」

「無茶を言うな!! 平野でもあるまいし少なくとも自動射撃(フルオートモード)じゃぁ、1キロが限界だ!! 視認しているのならそれに限らないが……。」

「チッ、贅沢の一つも言ってられんな!! クッ、来るぞ!!」

 

 ドガンッ!!

 

 地面が炸裂する音が聞こえる。

 位置は角内の左後方。

 白い発光した斧を構えた修道服姿の青年がいた。

 

「タイプ2、一斉掃射!! 肉片の一欠片も残すな!!」

 

 ドガガガガガガガゴゴゴゴゴ!!!

 

 耳鳴りがする。

 音が聞こえない。

 そこにいた、存在は大量の土煙によって見える状態ではなくなった。

 

「ーーーー!?」

 

 意味をとらえられない声が聞こえる。

 

分かってるっての(ーーーーーーーー)!!」

 

 そう言った直後、第二射が始まる(・・・・・・・)

 

 100丁は超えるであろう爆発武器(ロケットランチャー)を浴びてその男は生きていたのである。

 そのことに恐怖も驚きもせず平然と第二射を行う。

 いや、正確に言うなら恐怖も驚きも出来るタイミングが無くなったのだ。

 無尽蔵に天地問わず現れる敵を対処するのならば驚く暇などない。

 冷徹に撃鉄をあげるように、無言で銃口を向けるように、無心で引き金を引くように、作業的に速やかに行わなければならない。

 それこそ、福幸を助け出し角内が助かる唯一の道なのだから。

劣勢な理由は簡単で下手に近づかれたらしたら即座に殺されるからですね。

あと、御子は全員ダンジョンの転移トラップによって現れてます。

実はもう既にここはダンジョンだったのだー!!

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