90 蹂躙
「どこ行ってたのかな〜?」
「いや、少し狩に。」
「そうなのか〜。成果は?」
「まぁ……、無いようなもんだ。」
「ふ〜ん。詳しくは聞かないでおくけど……。スキルの暴走には気をつけてね。」
「? 何の話だ?」
「あちゃー、そのタイプか。けどまぁ、いいや。いつか気づくしね。」
「マジで何の話だよ。」
そう言うと、福幸は地面に座る。
「もうそろそろ来そうか?」
「うーん、わからないな。こればかりは運だから……、うん?」
魔法陣が唐突に光出す。
その光景を見た瞬間、福幸とレオは同時に立ち上がり木陰に身を潜める。
「見たかい? もうきそうだよ。」
「激しく同意だ。あそこまで光り輝いてて何も起こら無いって言うのはないだろ。」
「スキルでも、魔術でも、とりあえず即座に入り込める準備をしてほしいな?」
「了解。作戦は?」
「何も無しに穴に突撃。それだけだよ。」
そう言うと、彼の血管が浮出始め全身が赤く染まる。
軽く、焦げた肉の匂いもする。
「短期決戦だ。即座に決めるよ。」
「応とも。魔法を共有、完了。スペル『疾風』」
福幸には、風が纏わり付き砂埃を立てる。
ミョン
気の抜けた音と共に世界に穴が開く。
「行くよ!!」
レオの号令に頷く間も無く、福幸は駆け始めた。
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距離にして大聖堂の本殿から2キロほど離れた副殿、否、小さな社にあるダンジョンの入り口に角内が立っていた。
「ようやく来たか。おせぇよ。」
「ハッ、貴様の都合など知ったものか。しかし、確かに此奴のせいで遅れたことは認めよう。」
「え、なんでそいつがいんの?」
角内が目にしたのは残念騎士だった。
「ハッハッハッ、貴様? 此奴と知り合いか? 中々に良い人材であろう? 道化としては一流よ。」
「何ー!! 褒めて無いでしょ!!」
「ハッ!! 貴様を褒めるなどと我が死んでもあり得ぬわ!!」
(うん、今回ばかりは強欲に同意する。お前、いらないことしかしないもんな。)
街でかけられたさまざまな迷惑を思い出しそっと遠い目をする。
「それに、多少の縁もあるみたいでは無いか。使えぬ物だがひょっとすれば我のプラスにもなるかもやだ。」
「あー、はいはい。もう勝手にしろってんだ。それより、大聖堂にそろそろ入るか?」
「フッ、そうするとしたいところだが……。生憎とそうもいかないみたいだなぁ? 御子共よ。」
瞬時に武装を整えた強欲がそう背後の数人に呼びかける。
「いつからわかっていましたか?」
「答えるまでも無い、最初からだ。」
その問答の様子を見て慌てて武装を展開すると同時に、角内も気づく。
「何人だ? この量……。」
「ざっと、十五はくだらんだろうなぁ?」
「きゃー!! 助けて!! 私、この人達に攫われたの!!」
しらっと、冷たい目で残念騎士を見る角内ら2人。
だが、即座に思考を切り替え勝利条件と勝つための最善手を考え始める。
「俺は右半分を請け負う。お前は左を頼んだ。ついでに残念騎士も殺すか? 大して情報も持ってないようだし。」
「暇ならば、な。」
そう言うと、福幸と強欲は同時に動き出した。
「バレル、展開、ロケットランチャー、一斉掃射!!」
「『なれば、貴様の心の臓を頂こう。【強欲】」
片方では爆音が轟き血肉が爆発四散し、もう片方では静かに人が死んでゆく。
その様子はさながら地獄そのものである。
「PPSh-41展開!! ついでにAK各種類も!! そいで一斉掃射!!」
言うが早いか、空中に銃が現れ始め弾を発射する。
最初こそ魔法や武具、スキルで抵抗していた御子だったが角内の銃撃にたちまち蜂の巣にされる。
それが数分続いただろうか?
もう既に、2人以外立っている者はいない。
「一丁上がりっと。」
ザシュッ!!
肉を切る音が聞こえ、振り向くとそこには強欲が最後の1人を殺した姿が見える。
「さて、お代わりだ。なぁに、相手はまだまだ現れるぞ。」
チラリと視線を彷徨わせると、彼方此方から視線が向けられている。
「さて、蹂躙の開始だ。」
「殺戮の間違いではないのか? ククク。」
そう言うと、2人は再度駆け始めた。




