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78 魔導機械

「じゃぁ、本題と行こうか。」

「まずは、私側のメリットを教えてください。」

 

(何を提示できる……、俺は何を切れる……。)

 

 必死に頭を回して考え抜く。

 

(物品を渡すのは論外だ、出せるものが無い。じゃぁ、情報? 何を? このメイドは何を欲している?)

 

「浅知恵、とは言いませんが……、拙いですね。」

「生憎と、こちらには出せるモノが無さすぎてな。」

「ふむ、では私の望みを言いましょうか?」

「どうぞ。」

「では、貴方のステータスに記載されているギフトスキルを教えてください。」

「ステータス? えっ?」

「はい?」

 

(この世界に、ゲームのようなステータスが存在するのか……? それはもっと拙いぞ……。(・・・・・・・・・)

 

 顔面蒼白で体を震わせる角内。

 だが、その震えを消してこう告げる。

 

「ステータスの見方は?」

「念じれば開きますよ。」

 

(『ステータス』うわぁ……、マジか。)

 

 言われた通りに念じたら目の前に半透明な画面が浮き上がりいくつかの言葉が記されている。

 

 ───────────────────

 名前︙角内 聡太

 ギフトスキル

 魔導機械(魔を導く科の理)(神)

 

 EXスキル

 無限銃創(蹂躙するは人類の悪意)(神)

 ───────────────────

 

(なんだ……コレ……、いや、確認は後回しだ。)

 

「ギフトスキル()魔導機械(魔を導く科の理)だった。」

「ほぅ? 聞いたことがありませんね。」

「おい、コレで言わないよな?」

「はい? 何のことでしょう?」

「だろう、な。」

 

(あー、やっぱりクズだったか。)

 

 そう思い、易々と相手を信用したことに落胆しているとメイドはこう続けた。

 

「|今、私は貴方に呼ばれて来たばかり《・・・・・・・・・・・・・・・・》ですよね?」

「!? あっ、ああ。」

「体調が大丈夫であればはやく食堂にお戻りください。」

「わ、分かった。」

 

 思わずうわずった声が出る。

 運がいい、なんて話では無い。

 幸運というレベルでは無い。

 ここに1人、信用に足りうる(・・・・・・・)かもしれない人物を得たのだ。

 ここに1人、味方になりうる人物を知ったのだ。

 

「すまん、貴方の名前は?」

「レイフォース・ア・レスメントです、では、これにて……。」

 

 そう言うと、足音が遠ざかる。

 

「ふぅ…………。」

 

 その音を聞き、角内は深くため息を吐く。

 自分が行った偉業を、噛み締める。

 こんな、取引は取引では無い。

 異世界モノではスキルの情報そのものが重要な物は幾らでもある。

 とはいえ、どんなスキルであれそれらは使い手次第ではある。

 それは戦いの場面だけでは無い。

 こうして、交渉のテーブルに己のスキルを対価に情報を得る事も可能なのだ。

 

 確かに、損失は大きい。

 決して、安くは無い。

 だが、しかしだ。

 

 得られた対価さえ有れば信用できる人物、最低限の取引は可能な人物に比べれば遥かに安い。

 

「よっしっ!!」

 

 小声で叫ぶ。

 興奮を、この胸の高鳴りを、抑えられない。

 地球ではなし得なかったこの事を。

 地球では発揮できなかったこの才能を。

 今、こうして使えていると言うことに興奮を、抑えきれない。

 

 己に浸る。

 陶酔する。

 

 が、瞬間思考から熱が消えた(・・・・・)

 その熱が一瞬にして消え去り、覚めた機械のようなしこうとなる。

 

「神様か、何かいるなら感謝しないとな。お陰でどうにかなりそうだ。」

 

 チラッと、スキルの説明欄を見る。

 そこに書かれていた内容を再認識すると、立ち上がりトイレから出た。

今気づいたんですけど更新日時と話数が連動している……(・Д・)

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