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75/153

75 目標は

「そういや、アンタって勇者なの?」

「……、その結論に至った理由を教えろ。」

「いやぁ、それほどでもぉ〜。」

「早く言え。」

「ケッ!! 面白みのない奴め!! まぁ、別に教えるけどぉ〜?」

「ウッザ。」

「酷いっ!! 慰謝料を請求するわ!!」

「くだらないことをほざくな。早く言え。」

「はぁ、まぁ別に大した事はないわよ? 黒髪黒目に異質な力。それだけあって勇者伝説を知っていれば考えなくとも答えは出るわ。」

「勇者伝説? そんな物があるのか。」

「そうよ? 内容はありきたりな人間讃歌だけどね。」

「人間讃歌か。くっだらねぇ。この醜い種族を褒め讃えるなんてな。」

「否定はしないわ。で、分かりきった話だけどアナタは勇者?」

「問答無用だ。答える気はない。」

「まぁ、いいけど迂闊にその力を使うべきじゃないわよ?」

「ご忠告、痛み入るな。さて、魔物だ。」

「はいはい、今回はわたし一人でやるわ!!」

 

 そう言うと残念騎士は現れた獣型の魔物に対して剣を剥く。

 

「いっちょやりますかー!!」

 

 そう言って剣を正眼に構えて襲い掛かってきた獣を……、蹴り飛ばした。

 

「なんで剣を使わねぇんだよ!! 少年の夢を返せ!!」

「逆になんでわかりやすい剣を使わなくちゃならないのよ!!」

 

 道理だ。だが、剣を使わない騎士は夢を壊しにかかっている。

 これもこれでどうなのか? 魔獣もオロオロしている。

 

「相手の都合なんて知らないわ!! 私は私よ!!」

 

 天上天下唯我独尊を地で行く彼女は非常にマイペースな様子だ、がそこをショックから復活した魔獣が攻撃する。

 

 グルララララララ!!

 

「そして、目潰し!!」

 

 地面の砂を蹴り上げついでに顔面にその脚を叩き込む。

 そして、ダウンした魔獣を見てニンマリとしながら……。

 

「ありゃりゃりゃりゃりゃりゃぁ!!」

 

 剣で滅多打ちにした。

 そう、剣の胴で殴りつけたのだ。

 

「うわぁ。」

 

 流石にこの戦い方には素で引く角内。

 心のリストにやべえ奴と太文字赤色で書き込んでそっと逃げようとするも……。

 

「終わったわよ? 解体手伝ってくれる? 結構この肉美味しいのよ。」

「うわぁ。」

 

 後ろを振り向いてそう言う残念騎士の姿は血塗れでハッキリ言って悪役にしか見えない。

 もしくはゾンビだろう。

 

「あ、返り血? 心配しないでいいわよ!! 私こう見えて魔法使えるのよ!!」

「使えるのなら、最初から使えよ。」

「いやぁ、生活魔法の清掃(クリーン)しか使えないからね、わたし。」

「………(何かを察した顔)。まぁ、いいか。それに解体してる暇は無い。早く先を急ぐぞ。」

「えー!? ほんとにっ!? 解体しないの!? ヤダヤダー!! 勇者のお話してくれないと行きたくないー!!」

 

 はい、鬱陶しい。

 この鬱陶しさは残念騎士でなければ出せない物だろう。

 いい年した大人が地面に(血塗れで)転がるなど今日日アニメでも見ない物だ。

 

「チッ、面倒くセェ。置いていくか。」

「それだけは勘弁っ!!」

 

 ズバッ!!

 

 角内の言葉が聞こえた瞬間直立不動になる。

 

(はぁ、俺ってお人好しなのか? こんなバカを連れてるなんて……。)

 

 分類的にはお人好しに入るのではないだろうか。

 

「さて、いくわよ!! 私たちの目的地は大聖堂なりー!!」

「うるさい黙れ。」

 

 物語は始まったばかりだ。

残念騎士がいるだけで雰囲気が変わるだとっ……!?(・Д・)

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