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64 無限銃創 そして都市の消滅。

「振り切ったか? いや、そんなこともねえな。」

 

 街の中、必死に走り続け自らを御子と称していた二人から逃げ切る少年の姿がそこにはあった。

 

「ようやく帰ってきましたか。」

「本当にようやくだ、リリカ。」

「貴方のせいで予定より30秒遅れました。」

「実質誤差だな。」

 

 カチャン。

 

 銃をリロードし、さまざまな武器を装備していく少年。

 その武装は、明らかに異世界とミスマッチしている。

 

「にしても、貴方の力は余りにも強過ぎますね。あの御子を一時的とはいえ退けるとは。」

「そんなこともない。対個人相手じゃあ、本領を発揮できないしな。それに、コレを使いこなすには俺一人じゃぁ無理だ。せめて那人がいれば話は違うんだがな。」

「大罪持ちを助ける余裕はありません。それより、目的のものは確保できましたか?」

「ハッ、当然だ。」

 

 そういうと、ポケットから一つの半透明に輝く石を渡す。

 

「結構です。しかし、これが聖蹟ですか。」

「過去に存在した英雄の伝説を英雄自身が結晶化し残したヤベェやつだ。しかし、だいぶ弱ってるな。」

「ええ、当然でしょう。コレは憎き奴等女神教の目的を遂行するのに必要な物ですから。」

「ここまでやったんだ。俺たちを召喚してまでやりたかった奴らの目的をいい加減教えてくれないか?」

「いいでしょう。貴方は信用に値する。とは言え、薄々貴方も気づいてるのでは?」

「当たりは付けてる。確証が欲しい。」

「そう、ですか。まあ、いいでしょう。奴らの目的はただ一つ。」

 

 口を一旦閉じ、言葉を切る。

 

「この世界の崩壊なのですから。」

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「予想より大きく出たな。しっかし、この世界の崩壊が仮にでも神を名乗る存在が求めているだなんて。せいぜい大陸の支配、と思ってたんだが。」

「現状からの推測に過ぎません。ですが事実です。」

「くっだらねぇ。」

 

 吐き捨てるようにそういうと少年は、その場で胡座を欠く。

 

「はぁ、最初に言っとくぞ。俺とお前はギブアンドテイク、利益を求めて互いに利用しあってるだけの関係だ。間違えんな。」

「何度も聞きましたね。」

「はぁ。まあいい。それより後、30秒弱で接敵だ。」

 

 ドガンッ!!

 

 彼がそう言った直後、壁が破壊される。

 

「30秒後では?」

「計算ミスだ。逃げろっ!!」

 

 焦ったようにそういうと、空いた壁に向けてロケランを放ちつつ逃げ出す少年と女性。

 

「っと、土産にこれもやるぜ?」

 

 宙に浮いていたロケランが、地面に落ちて消えたたかと思うと次の瞬間に新しいロケランが創造される。

 

「閃光弾だ!! とくと見やがれェ!!」

 

 そう叫び、爆風を背に受けながら少年はその場から逃げ出した。

 そこから数分後。

 閃光の余波が抜け終わり目が見えるようになった御子二人が話を始める。

 

「ッチ、逃げちゃいましたかぁ〜。」

「まぁ、仕方ありません。しかし、ロケットランチャーですか。また面白いものを使いますね。」

「あー、目が痛い痛い。」

「属性としては雷でしょうか? しかし、手ひどくやられましたね。」

「前後が繋がってないよぉ〜。」

「おっと、悪癖が出てしまったようです。しかし、あの目潰し……。対策を考えなければ下手を打てば負けますね。」

「打たなくても負けるかもかも〜。閃光に目を向けてたけど、その前のエクスプロージョンを内包したヤツもやばかったな〜。」

「反射的に切り落としましたがそれが失敗とは。中々に狡猾な手口です。」

「あの距離から、あの火力じゃぁねぇ〜。近距離まで近づいてテレポートも無理じゃんか?」

「無理ですね。私が近づけても発動する前に攻撃されて負けます。」

「私のチカラでも近づくのは難しいかなぁ〜?」

「でしょうね。過去にやった善行の精算ですから。」

「おーと、不用意に話さないでほしいな〜」

「彼らにはもう気づかれてますしいいでしょう。聖蹟を取られたのは痛いですが補填できないほどではありませんし。」

「次の標的に向かうんだ〜。」

 

 そういうと、スプラッタ少女が斧を振り回して周囲の建物ごと粉塵に替える。

 

「後処理は頼んだ〜!! 近くに傲慢の大罪魔の力の反応もあるしちょっくら行ってくる〜!!」

「無敵に等しいとはいえ貴方も生身のヒトです。お気をつけを。」

「にゃはは、実質無駄無駄ぁ〜。」

 

 そういうと、姿を消すウザ女。

 

「はぁ、めんどくさいですね。」

 

 その後しばらくした後に、とある国から都市が一つ消えたという。

 後に残ったのはガラス化した地面と落雷の跡のみだった。

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