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52 錬金術師

「あ、あの、御二人に依頼が届いていますが……受けますか? これを受けたらランクを上げる試験を受けれますけど……」

「受けますっ!!」

 

 早朝、ギルドに訪れた二人を出迎えたのはこの言葉だった。

 

「一応依頼内容を話しますね。ふむふむ、簡単に言いますと屋敷掃除をした錬金術師がいますよね?」

「ああ、うん。いたな。」

「その方からの依頼で実験の手伝いを求む。とのことです。細かい内容は記載されてませんが……。」

「まぁ、大丈夫だろう。受けるよ。それ。」

「わかりました。場所は、先日と同じ場所です。」

「ありがとうございます。」

 

 本日は悩むこともなく即決で依頼が決まったためいつもより少し早くギルドを出る福幸。

 そして、歩くこと10程度。

 すぐに、屋敷についた。

 

「とりあえず、呼ぶか。」

 

 ガンガンッ!!

 

 ダッダッダッ、ガチャ

 

「おお、よく来てくれた。待っていたよ。」

「それは、ありがとうございます。」

「では早速だが……、君の魔法袋を調べさせてくれ。」

 

 ド直球に質問をする錬金術師。

 一瞬戸惑う福幸。

 

「えっ、なんで?」

「魔法袋は珍しくはないものだが……、君のものの容量には眼を見張るものがある。」

「そ、そこまで?」

「まぁ、そこまで多くはないだろうな。ん? 少し待て……。その剣……もしや魔剣?」

「っ!?」

 

 分かる人には解るのだろう。

 剣を一瞥したときの違和感を探るように剣を見た瞬間魔剣と理解したのだ。

 

「ふむ、かなり高位の魔剣と見える……。はぁ、これを調べるのは辞めておこう。」

「えっ?」

「フッ、感じなかったのか? 身の程を弁えろと剣の圧が一瞬強くなった。それに、その剣は貴様を主と認めたわけではなさそうだな。過去の所有者が気になるものだ。まぁ、下手に首を突っ込むのはやめておこう。」

「あ、ありがとうございます。」

「いや、その剣を見て少し冷静になった。だが、まぁ、気になるものは気になるのでない。まぁ、こちらへ来てくれ。」

 

 そう言い、彼は実験室に二人を案内する。

 中は他に比べてかなり清潔で快適な空間だった。

 

「さて、話を早く進めようか。」

「えぇ……、急展開すぎるんですが?」

「フッ、遅いが早いかの違いだ。その程度なら早いほうがいいだろう。さて、話を進めるがそのポーチの製作者は誰だ?」

「絶対に知らないでしょうけど剣姫という人物です。」

「剣姫……? 知らんな。一体どんな人物だ。そのレベルのものをあっさり作り上げるところを見るにかなりの人物であることは伺えるが……」

「どんな人かは説明が難しいな……。まぁ、俺の印象でいいなら完全無欠の完璧超人ってところかな?」

「意味が被ってるぞ?」

「あー、まぁ。うん。流してくれ。その人は戦闘能力の時点でかなり強いな。」

「どれぐらいには?」

「一つ聞くけど幻影魔法に実体って持たせられる?」

「実体だと? つまり、剣で切ろうとしても反発がある状態ということだろう? ふん、不可能だ。」

「いや、その人は普通にやってたぞ?」

「は? それは、魔法の永遠の課題の一つをこなしているということだぞっ!?」

「だろうなぁ……。」

「それが事実ならば……、そうだな……。確かに貴様の表現がよくわかる。で、だ。その魔法袋を少し調べてもいいか?」

「まぁ、いいよ。」

 

 そう言い、福幸はポーチを手渡す。

 錬金術師は眼鏡を掛けると直様魔法陣の解析に入った。

 

「・・・」

 

 …………

 

「・・・・」

 

 ……………

 

「・・・・・」

 

 ………………

 

「いや、長げぇよ!!」

「おっと、しまった。なかなかに面白いものだったのでな。そういえば、貴様に目標などあるのか?」

「んー、まぁ。一応は。」

「そうか。まあいい。少し待ってくれ。手伝いはしばらく後回しだ。」

 

 そう言い、彼は奥から取り出した羊皮紙に何かを書き始める。

 

「奥の女性は貴様の奴隷だな?」

「まぁ、そうですけど。」

「ならば、奴隷申請もいるか……。」

 

 そう言い、また何かを書き始める。

 しばらく、待っていたら唐突に錬金術師が顔を上げる。

 

「そういえば、貴様の名はなんと言う?」

「ナヒト、フコウナヒトだよ。」

「そうか、公の場では偽名を名乗るか?」

「あー、どっちのほうがいい?」

「偽名のほうがよろしいかと。」

 

 何かを察したコマチはそう言う。

 

「じゃあどうする?」

「そうですね……、フーコとかはどうでしょう?」

「風子? ヤダよ。そうだな……。ナートとかは?」

「ナートではナハト公爵に似ているので辞めておいたほうがよろしいかと。そうですね……。ヒトナならどうでしょう?」

「ヒトラーみたいで却下。」

「面倒くさいから、シュバルツにするぞ。」

「やめてください!!」

「ならば、ノワールはどうだ?」

「あっ、じゃぁそれで」

「わかった。よし、これで魔術学園には通えるだろう。」

「は?」

 

 あまりの急展開に福幸はかたまった。

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