45 兎と亀
「はい、報酬は42000ペースです」
「ありがとうございます。」
そう言い、受付を出る。
「昨日の4倍ですね。」
「実際そこまで多くはないけどな。けど、結構稼げるな。」
「ですね。早く宿に帰りますか?」
「あー、うん。どうしよう……。何か買ってもいいよなぁ……。」
「それをするにしても明日の昼のほうが良いかと。」
「まぁ、そうか。というか、これ貨幣何枚分なんだ?」
「えっと、これだけなら銀貨2枚に大銅貨2枚ですね。御主人様は別の貨幣価値の国で生活していたのであまり知らないのでしたね?」
「うん。まぁそうなんだよ。」
「頑張って覚えましょうね!!」
「ハイ、ガンバリマス」
(勉強苦手だな……。)
と、考えているが貨幣価値を理解していないというのはかなり危ない。
使ってなれて覚えてほしいものだ。
ついでに、日本と比べづらいが簡単に解説するとしたらだいたいこれぐらいの価値となる。
聖貨=100,000,000円
大金貨=1,000,000円
金貨=100,000円
小金貨=70,000円
大銀貨=50,000円
銀貨=20,000円
小銀貨=5,000円
大銅貨=3,000円
銅貨=1,000円
小銅貨=500円
石貨=50~100円
となっている。
また、地域によってもかなり変動するためこの数値はあまり意味はない。
目安程度のものである。
ついでに、福幸が少し前に食べた朝食が3,000円となっているがそれの理由は調味料が含まれているという理由でもある。
ついでに、現在の福幸の所持金は504,200円ぐらいである。
高校生が持つには多すぎる金額ではあるものの二人の人間が過ごすにしてはかなり少ない。
「おっ、いたいた!! やあ君!! 久しぶりだね!!」
青い髪の騎士のような人物が福幸に話しかけてくる。
「ほらほら!! 生きて帰ってこれたらご飯を奢るって約束したじゃないか。」
「あっ、あぁっ、あーー!! あの死亡フラグの!!」
「死亡ふらぐ……? な、何を怖いことを…… 」
「あっ、いや、こっちの話です。」
「ま、まぁいいよ。それより、そっちの彼女は噂になってた子だね。君の分も奢ってあげるよ。」
「あっ、いえ、私は奴隷ですので……」
「いいから、いいから。犯罪奴隷でもないのに軽蔑なんてしないよ。」
「わかりました。」
「じゃぁ、食べに行こうか。」
そう言い、三人は夜の街に歩きに行った。
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「ここだよ。ここの飯屋は美味いんだよねぇ。」
「そうなんですか? えっと、名前は……」
「ここが、『兎と亀』亭ですか? 騎士の皆様も冒険者がよく寄るこの店に来るんですね……。」
「そりゃぁね。騎士も冒険者も人間だからね。」
ガランガラン〜
「らっしゃい!! 何名様ぁ!!」
「3名だよ。椅子は空いてるかい?」
「ほら、あそこが空いてるから座りな。注文は呼んでくれたら聞くよ!!」
そう言い、嵐のように去るウエイトレスというべき人物。
見た目は恰幅の良いおばさんでエプロンを着て両手に料理の乗ったお盆を持ってその見た目からは予想できないほど俊敏に動き机にどんどん料理を載せていく。
「アンナさんもそう言ってることだし椅子に座るか。」
「あの人、アンナっていうんですか……。似合わねぇ名前……。」
「そういうことは、あまり言わないほうが……」
福幸の後半部分を耳聡く聞きつけたコマチが注意を促す。
「あっ、僕の自己紹介をしてなかったね。僕の名前はシュール。知っての通り騎士をしてるよ。」
「自己紹介ありがとうございます。僕は福幸那人で彼女がコマチですね。」
「よろしくおねがいします。」
「そこまでかしこまらなくていいのに……、まぁいいか。」
「というわけで、ゴチになります!! なにかオススメありますか?」
「えっと、どれがいいかなぁ……」
そう言い、壁にかかったメニュー表を見る。
「パギアの塩焼きとかいいかなぁ?」
「あー、じゃぁそれでお願いします。」
「すいませ~ん!! パギアの塩焼き……えっと……」
「俺たち二人分お願いします。」
「あっ、じゃあ、3つお願いします!!」
「あいよ!!」
そう言い、アンナが店の奥へと消える。
「この店はアンナさんと……コーシュだったっけ? まぁ、その二人で経営してる店でね。アンナさんうさぎみたいに素早く動いてご飯を机においてるだろ? 反面、旦那さんのコーシュさんはゆっくりながらも丁寧に料理を作ってるんだよ。まぁ!! これがウメェんだよ!!」
そう言い、一息に色々話し出す。
かなりこの店に通っていることがうかがえる。
その後、一時間ほどご飯を食べ福幸らとシュールはそれぞれ分かれ福幸らは宿屋へ帰った。
ついでに、パギアの塩焼きは見た目も味も鶏肉の塩焼きだったことをここに記しておく。




