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41 ギルド

「色々あったが、ギルドに着いたな。」

「大人しく捕まってください。御主人様。」

「絶対嫌だってのぉ!!」

 

 再度追いかけっ子が始まる前に福幸はギルドの中に入る。

 前回みたいに変に絡まれることもなく受付まで行ける。

 

 (というか、前回絡んできたやつってくっそ親切なことを言ってたよな……? 柄悪いけど。)

 

 今更ながらに気づいたがそれがどうしたという話でもあるのですぐに忘れ去る福幸。

 そして、受付まで行こうとしたとき福幸の受難が始まる。

 

 (どこのカウンターに行けばいいんだ? )

 

 一瞬足を止め思考する。

 

 (依頼受付は真ん中3つだな。その中で一番人気があるのが左側の美人な受付だが……、諸割速度が遅い。3つの中で一番遅いな。となれば他2つだが……、片方は中年の受付員、もう片方は女性の受付員だな。さぁて、困ったぞ……、俺が求めてるのは本当の意味での基礎知識だ。それをどちらのほうが聞きやすいか……。よし、女性の方に行こう。)

 

 その思考を一瞬で済ませると早速向かい、列に並ぶ。

 

「次の方、どうぞー。」

「はい、お願いします。」

「依頼受注でしょうか?」

「そうなります。あ、その前にギルドで定められている基本的な事柄の説明とか貰えますか?」

「あー、初心者の方ですか。あっ、決して馬鹿にしてるわけではないので安心してください。登録と時に説明を受けませんでしたか?」

「いえ、実はちょっと特殊な感じでギルドに登録したのでお恥ずかしながら聞いたりできなかったんです。」

「あっ、もしかしてオークストラテジストを倒した方ですか?」

「そうなります。」

「あー、実はですね。」

 

 そう、一言区切ると彼女は言葉を続けた。

 

「副部長からまともな依頼を回すなって脅されているんですよ……。理由は簡単であの副部長、支部長の座を狙っているんですよ……全く……。貴方みたいな実力があって少なくとも領主様に認められているような人物から現ギルド長の評価を落とせば失脚させれるとか思っているのですかね? 傍迷惑な話ですよ……はぁ。」

「あー、えっと………」

「あっ、今のは独り言ですからね!!」

 

 慌てて、そう断りを入れる。

 だが現状を把握した福幸は冷静ながらも内心かなり慌てる。

 

 (やべぇじゃん、権力争いじゃんっ!? どうすればいいの? )

 

 慌てて解決策を考え出す福幸だが、そう簡単に出てくるはずはない。

 

「とりあえず、簡単な説明からお願いします。」

「分かりました。まず1つ目ですが依頼は、雑用と討伐の2つに別れます。内容はこの場合割愛させていただくとして、討伐依頼で出されているものには難易度があります。大きな区分ではSSS~Fですが細かく分けるとSSS1等級〜F10等級まであります。」

「質問ですけどどちらが強いのですか?」

「SSS一等級を頂点にどんどん下がっていきますね。えーと、あなたが向かったオークの集落討伐依頼はオークストラテジストのことを考えますと大体C10等級ぐらいになりますね。」

「へ、へぇ。」

「それで、貴方のギルドランクは現在……Fっ!? 嘘でしょ……? 低過ぎる……。オークストラテジストを討伐できてこの人格なら最低でもDはあるはず……」

「あっ、問題ありませんから大丈夫ですから。」

「いえ、これはギルドの問題となります……。はぁ。あのクソ副部長がぁー!!」

 

 ギルドでのランクを意図的に下げるというのは本来あってはならない行為だったりする。

 何らかの事情で取り消しになった場合でも基本的には再登録時に前回のギルドランクを目安にする。

 今回行われた行為は、冒険者ギルドの顔に泥を塗ったどころではなくこのような不正は本来徹底的に取り締まらねばならない。

 だが、本当の意味での新規登録の福幸のランクを下手に上げるというのは若干なりとも不安が残るのも事実。

 たしかにこのランクはある意味では妥当と言えるかもしれない……が、実際はそのようなことはありえない。

 いくつも理由を上げろと言われれば挙げれるが最大の理由はオークストラテジストの単独討伐及び人命救助だろう。

 これほどの功績を成せば基本的には、Cランクまでは上がる。

 それが成されていないということは、意図的にランクを下げているということだ。

 この世界においてギルドとは一つの国だ。

 国境どころか国土も国民もいないが、国のようなものだ。

 そして、冒険者は国民のようなものでもある。

 即ち、今回のことは国が国民に対して意図的に不利益になる行為をしたということでもある。

 言葉通り、過渡に泥を塗ったどころの話では済まないのが通りというわけだ。

 

 (く、口が悪いなこのひと……)

 

 福幸はそれを知ってか知らずかそんな感想を抱いていたりする。

 

「とりあえず、依頼を探してみますね。」

 

 と、そんなふうにして話は進んでゆく。

 ついでにだが、コマチは背後で受付嬢を見定めるように睨んでいたりするのはここでの話だ。

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