表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/153

40 ヤンデレ

 砦街について約一週間が経った。

 その中で福幸は何をしていたかというと……

 

「御主人様、ギルドに行きましょう。」

「あと5分……」

 

 基本的に寝ていた。

 理由は非常に簡単。

 外に出ると不幸が襲いかかってくるからだ。

 最初の数日はまだ良かった。

 オークの討伐が終わりコマチの服を買いに行ったりしてたりなどと目的が福幸が立てたものでなかったのだから。

 だが、その後の街を見回ろうとしたり買い物をしようとしたりしたときに不幸が襲いかかってきた。

 街を歩けば転げ回り財布を落としかけ、スリの被害に合う。

 買い物をしようとすれば欲しいものは売り切れており謎に窃盗疑惑を掛けられる。

 本当に散々な日々だったりする。

 そのため、本当にやる気が起きず部屋というか宿屋でゆっくりするという現状に落ち着いていたりする。

 

「早く起きてください。襲いますよ?」

「辞めてくださいっ!?」

「なら早く起きてください。」

 

 洒落にならない冗談を言われ慌てて、ベッドから飛び降りる。

 

「はい、どうぞ。」

「あ、ありがとう。」

 

 ポーチ付きベルトとククリナイフ、不屈の魔剣を手渡される。

 

 カチ、カチャカチャ。

 

「でどこに行くんだ?」

「不貞腐れてないで元気だしてください。妄想が捗ります。」

「怖すぎるんだが?」

「冗談ですよ。」

 

 軽く震えつつも、福幸は武器の具合などをチェックしてゆく。

 

 (問題はないな。できれば肌見離さず持っておきたいがそうも行かない。)

 

 自衛用の道具は離したくないとこの世界でも一部の人物しか考えないような思考をする福幸。

 剣姫の特訓が非常にきつかったことが理由だろう。

 

「ん?」

「どうした?」

「今、他の女のことを考えませんでしたか?」

「そんなわけないじゃ……うん、そんなわけないじゃないか。」

 

 福幸は剣姫のことを女性として見てなかったりするのはここだけの話だったりする。

 全く酷い話だ。

 

「ま、そんなことよりギルドに行くぞー。」

「先程はやる気が一切ございませんでしたのに今では有り余ってますね。」

「なんか問題あるか?」

「いえ?」

 

 などと、くだらない問答をしつつともに部屋を出る。

 同棲生活をしているといえば聞こえがいいが、実際はそこまで甘くない。

 

「ふふふ、私達の愛の巣を離れるのは少々心苦しいですがデートに行けるのであればその心苦しさも消えゆくことでしょう。」

「うん、嘘しかない言葉をどうもありがとう。」

 

 実際は、逆レイプし福幸に貞操を奪われるという嘘の既成事実を得ようとしているのは公然の秘密のようなものだ。

 これが奴隷と主人のあり方かと問われればそうでないと答えるしかないほどの模範解答でもある。

 

「命令されたいか?」

貴方様(旦那様)からの痛みは愛の絆です。」

「ドMかな?」

「は? あのような低俗なものと共にしないでください。私が語っておりますのは純愛による我が御主人様(旦那様)への純粋たる愛です。それに対してあれは我が身の快楽を貪るただの性癖、フェチズムでしかありません。ただのゴミです。」

「お、おう。」

 

 思わず引く福幸。

 だが、気を取り直して歩き始める。

 

 (話せば話すほど俺のSAN値が削られる……のは気のせいだよな……? )

 

 ささやかな疑問を抱くも頭から慌てて振り落とす。

 そのようなことを考えているよりも他に考えねばならないことがあるからだ。

 

 (どうしようかなぁ。今後。彼女とともに過ごすのは確定。ヤンデレ怖いもんな。好きだけど。ああいうのは二次元だけでいいよ。本当に。まあ、嫌いでもないけど。というか、三次元でもありなのか……? )

 

 軽く、コマチをディスる福幸だが間違いはない。

 

「はぁ。」

「どうかいたしましたか?」

「いや、人生ってままならないものだなって。」

 

 (ん? ちょっと待てよ。)

 

 何かに気づく福幸。

 慌てて、自分に解呪魔法を掛ける。

 

「【ディスペル】…………!?!!!?!?」

「気づかれましたか。やはり私達の間には偽物の愛情など不要というわけですね!?」

 

 (や、やばいぞ……。いつ掛けられたんだ? 一体……? )

 

「種族特性なもので自分から解除できないのが難点ですが愛の重さを調べるのには十分ですね。」

 

 (怖いよ、マジで。というか、なんで俺の部屋に留めてるんだ……? まさか全部洗脳されていた……? )

 

 疑心暗鬼になる福幸。

 やはり、この蜘蛛女はかなりやばいやつと断定。

 早く逃げ出したい気持ちでいっぱいだったりもする。

 

「どうかしましたか?」

「・・・ッ!!」

「ふふふ、逃しませんよ?」

 

 全力で逃げ出した福幸と、それを罠で捕まえるコマチ。

 だが、福幸はそれらをギリギリで回避し逃げ出した。

 捕まるのは時間の問題だろうがそれに気づいていない福幸は幸せなのだろう。

本日はエイプリルフールということで我が後書きを担当するのじゃ。

しかし、女運は依然として悪いのぅ。

別の女はかなりやつれておるぞぃ?

ククク、おっとネタバレはあまりするべきではないか。

まあ、ここでの話はほとんど嘘のようなもの。

胡蝶之夢と言うやつじゃ。


あと、これは嘘か真かわからぬ話じゃが……

コマチの惚れさせる力は我が居たときには存在せぬ力じゃ。

謎じゃなぁ?わからぬなぁ?

まあ、嘘か真か。どちらか判断するのはお主たちぞ?

では、我は少しばかり福幸のいた世界で遊ぶことにするのじゃ。

お主らの世界では新型の病魔や錬金術に連なる力で争っとるらしいのぉ。

一刻も早く、解決することを望んでおるぞぃ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ