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34 埋め込まれたモノ

 奴隷の問題もある程度かたがついた頃、福幸は領主に呼ばれていた。

 

「で、報酬の件について話をしようと思ったが……、そちらの奴隷問題は片付いたようだな。異世界人よ。」

「!!?!!?!!!!!??????」

 

 無言で、暴れる福幸。

 どれほどびっくりしているのだろうか?

 

「そう驚くな。何、おかしな話ではない。貴様の実力がおかしいのだよ。」

「そそそそそそそそそ、そんなここここここここここここ、ことないいいいいいいいいい、だろろろろろろ」

「吃るな、五月蝿い。」

 

 軽く、注意を受けて深呼吸をして落ち着く。

 

「話を戻すが……、貴様の実力それは異世界人が持っていると言われている"ちーとすきる"とやらだろう。」

 

 ドヤ顔をして領主様がなにかほざいているが間違いである。

 福幸の持つスキルは大して強くもない実ガチャというスキルだ。

 

「貴様は、そのスキルを駆使しオークの首領を倒した。違うか?」

 

 めちゃくちゃ、キレイなドヤ顔で間違ったことを言う領主様(笑)。

 福幸は、悩む。

 非常に悩む。

 こんなにいい顔をして間違っていることを言っているのを指摘したときこの人の威厳は地の底まで落ちるのではないかと心配して。

 

「いや……、」

「おっと、君の手札を探ろうとしているわけじゃない。安心してくれたまえ。」

 

 そう言うと、言いたいことは言ったとばかりに話を次に進める。

 

「で、報酬の件だが貴様はギルドに登録しているか?」

「えっ、いや、してない」

「そうか、ならば街へ戻ったときにしてほしい。何、貴様の方にはなんの問題もないだろう。」

「いや、まぁ、そうですけど」

 

 唐突すぎる話に戸惑う福幸。

 必要性がわからないのだろう。

 

「ギルドへの登録は非常に意味がある。貴様のような平民にとっては金貨2枚というのは非常に大金のはずだ。そんなものを平民如きが持ち歩いているとなるとそこらの盗人共が襲いかかるぞ。」

「そこからなんでギルド登録に繋がるんですか?」

「簡単な話よ、ギルドシステムを作ったのは過去の異世界人だ。それで理解したか?」

「ああ、なるほど。」

 

 (銀行か。)

 

 意外なことに理解力は高い福幸。

 まあ、日本人でありオタク気質ならばこれぐらいのことを察せて当然か。

 

「そういうわけだ。あと、金銭の価値を理解してほしいのだが……無理そうだな。」

「いや、そんなことは……」

「異世界とこちらとで共通するものがどれほどある? それに、貴様の世界ではありふれたものであったりしてもこちらでは非常に少ないものだってあるのだ。説明が難しすぎる。」

 

 (それもそうか。それを聞くと不思議と納得するな。)

 

「その反応からして、貴様は異世界人だな。勇者とやらと名乗っている愚図共とは一線を画するようだ。」

「えっ、合ったのか!?」

「我が領地に数ヶ月ほど前に訪れたが……まるで酷い有様だったぞ。金はないのに暴飲暴食をし金品を強欲に買い漁っていた。」

「それは……すいません。」

「何、貴様が謝ることではなかろう。」

 

 (いや、クラスメイトが迷惑をかけたことに対する罪悪感がとても……)

 

「ここに来たのは何人ですか?」

「5人だが? まあ、聞き及んでいる限りでは勇者として聖国に召喚されたのは30人らしいがな。」

「ほっ。」

 

 落ち着く福幸。

 それと同時に少し、ほんの少しの違和感を感じる。

 

 (なにかおかしくないか……? )

 

「話はそれぐらいだ。出ていっても……」

「あっ!! ああ!!」

 

 急に大声を上げる福幸。

 そして、勢いよく領主に詰め寄る。

 

「ひ、一つ聞きます!! 勇者たちが来たのはいつだって……?」

「何? 数ヶ月前だが。」

 

 (や、やっぱりおかしい。俺が異世界に来てまだ一ヶ月半しか居ないはず……)

 

「勇者が召喚されたのは?」

「半年ほど前だが……?」

 

 (時間が違う? 彼奴等と俺との最大の違いはなんだ? 何が違う? )

 

 頭を必死に働かせる福幸。

 だが、無常にもそれを打ち切る。

 

「貴様が、何に気づいたのか知らぬが私には関係ないことだ。とっととこの馬車から出ていってくれるか?」

 

 そう言うと、背後に控える二人の騎士に方を捕まれ投げ出される。

 不幸にも、意識は暗転し辿り着きかけた答えは意識の暗転とともに消されていった。

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「そういえば剣姫様。あの小僧に伝えなくてよかったのですか?」

「構わんじゃろぅ? ほぼ誤差じゃ。」

「確かにそうですね。この世界と彼が本来呼ばれていた世界の公転周期が違うというのを伝えなくともまぁ、生きていけるでしょう。」

 

 さて、こちらは剣姫ローズとメイドの二人が屋敷の前で話しているところを抜粋する。

 本文で、時間がずれていた理由は剣姫の言う一ヶ月があちらの世界ではおおよそ3ヶ月に相当するのが理由だったりする。

 

「それに、そこの■■が口止めしてただろうしな。」

「よぉ?」

 

 片手を挙げて応じる黒い人物。

 笑いながら、剣姫の正面に座る。

 

「今日、俺が何をしにきたかはまぁ、分かってるよな?」

「早く話してもらおうか、福幸那人に何を埋め込んだ?」

 

 そして、三人は話しゆく。

序盤からフルスロットルですよぉ〜

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