31 オーク飯
「うっ……、あっ………」
「おっ、坊主。起きたか?」
ゆっくり首を動かす。
腕を後ろにやり上半身を起こす。
「一応……。」
「今回の勝利の立役者が何シケた面してんだよぉ!!」
笑いながら肩を叩く冒険者。
あたりを見渡す福幸。
「もう戦いは終わったのか?」
「ああ、お前がオークの頭を倒したんだぜ? 褒賞金はたっぷり頂かねぇとなぁ!!」
励ますように笑いながら冗談交じりにそう冒険者は言う。
そういったあと、ジョッキに入ったエールを呷る。
「ぷはぁっ!! やっぱ一仕事したあとのエールはやめられねぇ!!」
口元についた泡を腕で拭きつつ、福幸にも1杯どうかと渡してくる。
「いや、遠慮するよ」
「おいおい、冒険者たるもの酒が飲めねぇでどうするんだよぉ〜?」
真っ赤な顔をしてまるで、だる絡みしてくる上司のように酒を勧めてくる。
「おっ、ガキ。お前がオークストラテジストを殺ったんだってなぁ? 次は俺がやってやるぜ!!」
「あんたじゃぁ無理無理。この坊主、結構強いのよ?」
「そうそう、俺も見せてもらったがこいつ魔法使えるんだぜ? 羨ましいなぁ。」
「ハッ、才能と努力さえあれば誰でもできるぞ!! 俺だってなぁ!!」
「そりゃそうだ!!」
福幸を取り巻くように複数人の冒険者が酒を持って近寄ってくる。
見た目の年齢では福幸と変わらないような人物もいる。
「これこれ、そのへんにするんじゃぞぃ。ガキの病み上がりにゃぁ、酒ぁ飲ませんじゃない。」
「お、ばぁさん。暇なのか?」
「なわけあるかいな。一区切りついたのと起き上がったと聞いたからこちゃぁ来たんじゃぇ。」
「えっと、治療してくれたんですか?」
「そういうことじゃね。あたしゃぁ、忙しいからこれぐらいにせっどあんさら本人嫌がっちょるのに酒なんざ飲ませんじゃ無い。」
優しくも鋭く、言葉を放つ。
「あたしゃぁも、馬鹿どもの手当もせにゃぁならん。かまとる暇なんぞなきゃぁ。大人しく寝かせてやりゃぁ。」
「はいはい、わぁったよばぁさん。」
そう言って、老人は他の場所へ向かう。
「ま、悪かったな。許してくれ。」
「構いませんよ、それよりなにか美味しいものあります? さっきからお腹が減って……」
「それなら、こいつがうめぇぞ。」
そう言って、差し出されてきたのは焼かれた塊肉だった。
地球の料理で言うとローストポークが近いのだろう。
「ほら、こいつで食え。取りに行けるほど回復してねぇだろ?」
「あ、ありがとうございます」
ナイフを渡される。
もちろん食事用のやつだ。
意外と器用に肉を切り口に入れていく福幸。
「うまっ。」
「だろぅ? やっぱオーク肉はこの調理方法がいいんだぜ?」
「いやいや、こっちのほうがいいって。ほら、食ってみろよ!!」
横から別の皿も突き出される。
今度は薄く切った肉と山菜のソテーのようなものだ。
「おお、これもうまい。」
「お前美味いしか言ってねぇじゃねえか。」
笑いながら、冒険者が、そう言うと彼も食べ始めた。
「おお、うめぇ!!」
「お前もじゃねぇかよ」
そこから一人、二人と人数が増えてゆく。
最後は10人ぐらいで飯を食べ笑いあった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
グガー、スピー、
寝声が響く。
一応、多少の警備はしているがその数にしても多くはない。
そんな中で福幸は村の外れに来ていた。
「ステータス確認しないとな。」
そう言い、ステータスを開く。
実は、食事をしている最中にスキル習得音声が流れたのだ。
その確認と言おう。
複数個同時獲得した影響で音声が被りまともに聞こえなかったのだ。
────────────────────────
名前︙福幸 那人
種族︙超人
スキル
麻痺耐性(中)
毒耐性(中)
痺耐性(中)
出血耐性(中)
目眩耐性(中)
火耐性(弱)
電耐性(弱)
寒耐性(弱)
熱耐性(弱)
激痛耐性(中)
剣術(中)
斧術(中)
自己再生(弱)
筋力増強(弱)
悪食(中)
魔法︙火(弱)
魔法︙水(弱)
魔法︙風(中)
魔法︙土(弱)
魔法︙闇(微弱)
魔法︙光(微弱)
上位魔法︙雷(微弱)
気配察知(微弱)
基礎強化(微弱)
物欲(弱)
性豪(弱)
指揮(中)
特異スキル
食欲(弱)
捕食(微弱)
大罪スキル
暴食
EXスキル
実ガチャ(神)
────────────────────────
「やっぱ増えてるなぁ。食事中ってところから考えて暴食の効果は食べた対象のスキル取得? うーん、なにか違う気がする。一定量食べるとか? ありそうだな……。」
ある程度推測したあとある程度スキルの性質を確認し福幸は村に戻った。
オーク飯を書きたかった。




