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3 冥府の実

 石ころをおいた福幸は、最後に見つけたものを手に取る。

 

「何だコレ?

 質感からして石…… じゃねぇよなぁ。」

 

 呟きながら手に取りよぉく観察する。

 そして、諦める

 

「まあいいか。

 とりあえず実にするか。」

 

 そう言い、実に交換する。

 

「見た目…… 雰囲気からして…… こいつは……

 

 うん、食べれそうだな。」

 

 そう言ってから思いきりよく噛みつき食べる。

 そしてその瞬間……

 

 ──条件達成【スキル︙悪食】を手にしました──

 

 というアナウンスが流れ、直後福幸は気絶した。

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆

 

「ちと、遅かったか。

 まあ良い。

 ふむ、食べたのは……

 

 カッカッカッカッ!!

 これは実に面白い!!」

 

 目元の涙を拭い腹を抱え笑う、一人の美女の姿があった。

 ローブを着て剣を腰に挿している。

 笑っている動作ですら一つの絵になる程の美女がそこにいた。

 

「癒やしてやれ、【覇王剣】」

 

 そう言うと彼女の持つ、剣が一瞬光り福幸の顔色が良くなる。

 

「竜を殺す冥府の門の周辺に生えておる木の実を食ったようじゃな。

 流石に超人でも簡単に死ぬぞ?

 全く、例のあれ(・・)が無ければ即死してしまうものをよく食えるのぉ。

 まあ、効果なんぞ分からん実を出すスキルを与えた□□も□□じゃ。

 この□□□□に□□する暇があればもう少し働けばいいものを…… まぁ、□にして□である□□には仕事なんぞ関係無いか。」

 

 そう言ってから、福幸の体をお姫様抱っこで持つ。

 

「ふん、男の癖に情けない。

 せめて、我を持てるぐらいでないとな」

 

 そう言うと、彼を持ちながらどこかへ跳び去った。

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆

 

「う、ここ…… は?」

 

 福幸の顔に当たる日が眩しく、腕を顔に持ってこようとしたが体が動かない。

 慌てて、全身を起こそうとしたとき声が聞こえた。

 

「辞めたほうがええ。

 冥府の実を食べたんんじゃ。

 そんな簡単に、治るとは思うでないぞ。」

 

 良く通る、静かな声が鼓膜を震わす。

 そして、何故かと訪ねようとして音を出そうとしたが……

 

「あ、あぅ、あ、」

 

 声が出ない。

 今、まともに動くのは瞼の筋肉位だろう。

 それ程に、まともに体が動かなかった。

 

「ふむ、音を発せれるか。

 元気そうじゃのぉ? ククク。」

 

 にやり、と口の端を歪ませ扉から出てきた彼女はそう言う。

 

「ようこそ、我が小屋へ。

 しばらくは動けぬであろうから多少の介護はしてやろう。」

 

 そう言うと、福幸が寝ているベッドの横に何かを置く。

 

「め、っっ、の、、、み?」

「無理して話そうとするでない。

 聞き苦しい。」

 

 そう言うと彼女は急に福幸の口を無理やり開く。

 

「!!?」

「ふん、役得とでも思っておれ。」

 

 そう言うと、福幸の口に謎の液体を流し込む。

 先程まで、喋ってた人間が口から出せる量でない程の液体だ。

 

「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ……

 カハッ!!  ガホッ!  ガホッ!

 

 何するんだよ!!」

「声帯を復活させただけじゃ。

 まともに喋れるようじゃの。

 

 さてさて、疑問が確信へと変わる瞬間は良いものじゃのぉ。

 なぁ、異界からの旅人よ?」

「え? は? どういう意味だ?」

「お主の喋る言語は、お主の世界で日本語?  と言われておるものだろう?」

「ま、まぁそうだけど……

 って、早く体を治してくれよ!!

 声を戻せるのなら体も治せるだろ!!」

「馬鹿なのかのぉ?

 冥府の実をお主は知らぬのか?」

「知らん!!

 漫画とかアニメに出てくるやつか?

 というか、ここは何処なんだよ……。」

「ここは、我のみに扱える空間じゃよ。

 まあ、簡易宇宙とでも言うたらわかりやすいかのぉ?」

「全くわからねぇ!!」

 

 福幸はそう叫ぶと、また周りを見渡す。

 いや、しようとする。

 実際は瞳が動いただけだったが。

 

(ん? そういえば……、この人めっちゃ美人だな?

 目覚めた瞬間にキスしたり、口になにか流し込んだりして良く見てなかったけど。)

 

「我に惚れたかの?」

「惚れるか!!

 てか、お前俺のファーストキス奪ったな!!

 好きな子のために残してたのに…… 」

「安心せい。

 貴様には彼女も出来やしないからのぉ。

 ククク。」

 

 福幸は、泣いた。

 いや、涙は出なかったが泣いた。

 初対面の、超絶美人にそんな事を言われ泣いた。

 

「……」

「ん? どうしたのじゃ? 年齢=彼女いない歴」

「追い打ちをかけるなよ!!」

「しかし、回復が遅いのぉ。

 まあ、生命としての強制進化はそこまで有用でないと言うのは昔から分かってた話じゃが。」

「何の話?」

「こちらの話じゃ。

 さて、我は少し狩りに行ってくる。

 何せ、住人が増えたのでのぉ?

 ここは、彼女に任せるからのぉ。

 下の世話から飯の準備まで何でもしてくれるぞ。」

 

 そう、彼女が行った瞬間福幸に覗き込むようにロングストレートの黒髪のメイドが現れた。

 

「しばらくの間ですがよろしくおねがいしますね。

 お名前は?」

「そういや、問うてなかったのぉ。

 貴様、名前はなんと言う?」

「福幸。

 福幸那人だよ。」

「ほうほうほうほう、フコウナヒトか。

 ククク、こりゃぁ傑作じゃのぉ!!」

「ローズ様。

 その様に笑われてはお下品でございます。」

 

 そう諌めるメイドも口の端がひくついている。

 

「もうやだよ、この人!!」

 

 今度こそ、福幸は泣いた。

福幸那人は冒頭の部分で実を食べた時点でかなりの期間眠っています。

面倒くさいので描写はカットさせていただいてます。

ですが、その理由は今後明らかになるのでご容赦ください。

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