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27 助っ人

「ふう、目眩も落ち着いてきたか?」

 

 作に腰掛けて呼吸を整えた福幸は、立ち上がる。

 錬成術を伴った魔法の使用は使い慣れていなければかなりの負荷が肉体に入るらしい。

 事実、福幸はこれが剣姫のところでの訓練を含めて合計3回目の発動となるが未だに体調不良は発生する。

 また、反対に剣姫やメイドであるノーブルなどは一切の負荷なく福幸の数倍から数十倍の威力の魔法を発動させている。

 地力の差というべきだろう。

 故に、福幸も負荷はある程度許容し連戦となる状況では必ず使わないようにしていたりする。

 今回は敵の数が多く、すぐに避難できる状況だった為使用したのだろう。

 

「おいっ!! そっちは大丈夫か!?」

「今のところは!! 可能であれば一人来てほしい!!」

「了解!! おいっ、お前あっちに向かってくれ!! こっちは十分戦力が整ってる。」

 

 冒険者の一人が言われてやってくる。

 

「おお、こっちは坊主か。ん? もうオーク三体やったのか?」

「ちょっと頑張ったんでな。」

「魔法か? いや、詮索は厳禁だな。すまんかった。」

「まあ構わない。デメリットがちょっとの間戦力にならないタイプのやつだからな。」

「ああ、それでか。ふむ、お前自身の技量も高そうだな。」

「まぁ、な。貯めとデメリットがあるとはいえオークをニ体、瞬殺出来るし。」

「ハッハッハッ、愚問だったか。」

 

 そう笑うと森の方向を見る。

 

「視界が悪りぃなぁ。先に気付ければこっちが有利だが……、もしあとから見つければちと厄介なんてもんじゃねぇぞ。」

「あの巨体だから多少は大丈夫だろう。」

「楽観視は……っと。」

 

 オークの姿が二人の目に見え二人とも臨戦対戦になる。

 

「そっちの武器は?」

「弓と片手剣その様子じゃその珍妙なナイフと片手剣の二刀流と魔法を使うってところか?」

「基本は一刀流だ。」

「どっちがやる?」

「任せていいか?」

「なら俺がやろう。」

 

 そう言い、鍛えられたその肉体で弦を引く。

 数秒間、溜めたあと手を離す。

 

 ヒュンッ、、!!

 

 小さく、矢が飛ぶ音と弦が戻る音が鳴り綺麗に首筋に矢が突き刺さる。

 

「ま、ざっとこんなもんか。」

「スゲェな。」

「弓は覚えておいたほうが便利だぞ。ま、魔法が使えるなら構わねぇか。」

「いや、暇があったら是非とも学ぼう。」

 

 そう言うと、福幸はまた森を睨む。

 すぐに来る気配はないものの、死体があり近づいてこられたらすぐにでも気づかれる状況だ。

 

「できれば回収したいな。」

「流石に、なぁ。もう少し人の手が空いたら無理にでも回収するんだが。」

 

 そう言い、冒険者の男が村の方を見渡す。

 幾分落ち着いてきたとはいえまだまだ騒がしい。

 その様子を見つつ軽くため息をつく。

 

「無理そうだなぁ。こりゃぁ。はぁ。予想外過ぎるぞ。」

「あー、もしかしたら俺が悪いかもしれん。」

「なんでが聞いてもいいか? 場合によっちゃぁ一発殴らせてもらうが。」

 

 福幸が、そういった瞬間真面目な顔で福幸を睨む。

 

「仲間が一人大怪我ををおったんだわ。お前が原因なら一発殴らねぇと胸糞悪い。」

「済まない、昨日オークの村の位置の把握で騎士の人と森を探索してたんだが……、その時オークに襲われて騎士のほうが重症を食らったんだ。」

「ああ、あの人か。あー、分かった分かった。理解したわ。お前の実力ならそのオークは倒せたがこっちへ持ってくることが出来なかったんだな。」

「まぁ、そうなるな。」

「そりゃぁ、なぁ。警戒はしてたんだろ?」

「まぁな、だが調査と恐らく上位種の足跡が見つかってな。」

「上位種? こいつか?」

「多分。分からねぇ。」

 

 そう言って冒険者が指した一体は福幸が最初に戦った相手だった。

 

「ふ〜む……、警戒はしなきゃならんなぁ。こいつが群れてたら……脅威だな。」

 

 そう言われ、福幸も軽く頷く。

 この世界の常識だが、魔物は基本群れない。

 群れるとした場合最低一体上位種が居るということになる。

 一度の進化しかしていない上位種ならば大して強くはない。

 だが、オークが村を、集落を作る規模の集まりとなれば必然的に上位種のレベルも変わる。

 

「甘く見積もって3か4ってところだな。」

「最悪8。ここまで来るとオークストラテジストか。」

「だな。ストラテジスト級は無理だぞ? 俺は。」

「ここの全員が協力してやっとってことだろ。」

 

 そう言うと、福幸は森の方を見てからポーチに手を入れ実の一つを取り出す。

 

「お、甘いものか?」

「わかんね、屋台で適当に買ったやつだ。」

 

 適当に誤魔化しつつひとかじり。

 

 (苦い。当たりか? )

 

 そう思いつつ、どんどん齧ってゆく。

 芯の部分もある程度きっちり食べまた警戒に戻っていった。

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