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26 錬成術

「早速、負傷者が出たか。」

「あれは、済まなかった。もう少し俺が気を使っていれば……」

「いや、反省することはない。それに仇は取ったのだろう? ならば問題はない。それに今、論ずるのはそこではない。」

 

 そう言い、一旦言葉を切る。

 

「今、気を掛けなければならないのは上位個体のことであろう。予想よりもかなり危険な状態だと思われる。」

「たしかにそうだが……」

 

 そう言い、福幸が何か言おうとした直後。

 

 ブォォォォォオオオオ!!

 

 複数体のオークの鳴き声が響き渡る。

 

「ほ、報告します!! 森の方向からオークが約10体来てますっ、上位個体の存在もあるかもしれません!! 今冒険者達が対応してますがどこまで持つか……。」

「何ぃッ!?」

「今すぐ行くっ!!」

 

 福幸はそう言うと馬車を飛び出す。

 あたりを見渡すと村の中に今にも入ってこようとしているオークが居る。

 ククリナイフと不屈の魔剣を抜きオークのもとに急ぐ。

 

「うぉぉぉおおらぁぁああああ!!!!!!」

 

 叫びながらオークの腹に不屈の魔剣を刺そうとし弾かれる。

 

「粗末ながらもかなりの作りはしてるようだなぁぁああ!!!!」

 

 二歩、三歩と後ろに下がる。

 豚頭の身長は2メートル程度。

 福幸は180ちょいと日本人にしては高身長な方だがオークと比べるとかなり小さい。

 必然的に見上げる形となる。

 

「俺を見下げるなんてなぁ。」

 

 冗談交じりに呟く。

 福幸はこの状況を広角を上げ、ニヤリと嗤いつつ楽しんでいたのだ。

 不謹慎ながら、全力を出そうにも出せない勝負。

 そして、肉弾戦では互角の相手。

 もっと簡単に言おう。

 福幸は察していた。

 

 否、違う。

 

 ひと目見た時から疑うことがなく、このオークが上位個体(・・・・)であると確信していたのだ。

 異世界に来てから福幸も大分染まったものだ。

 

「行くぞ。」

 

 誰に向けた言葉か? 聞くまでもない。

 自分自身に向けた言葉だ。

 

 右手に持つククリナイフと左手の不屈の魔剣を持ち替える。

 今までみたいに本気であれど本気(マジ)でないそんな戦いは不可能だ。

 

 疑似二刀流というか変則二刀流というか。

 まあ、2つの(ナイフ)を構える。

 先に動いたのはオークだった。

 その手に持つ斧で福幸を叩きつけるように上から攻撃する。

 それを、基本的な構えで福幸は受ける。

 

 が、受けきれない。

 

 背骨が軋む。

 ミシミシという音がまるで聞こえてきそうだった。

 柔らかくないはずの地面に足がややめり込んでいた。

 声にならない悲鳴を気合と根性で押さえつける。

 そして、無理矢理にも押さえつける力に反発し斧を持ち上げ弾き返す。

 

 一歩、踏み込む。

 

 また、上から斧の攻撃が墜ちてくる。

 それを不屈の魔剣で受け流す。

 真正面から受けなければどれほど重い攻撃であろうと関係ない。

 

 ニ歩、構える。

 

 魔剣の射程範囲内。

 だが、流したことにより構えれてない。

 だからこそ、もう一歩踏み込む。

 

 三歩、ククリナイフを構え

 

 斬りつけた。

 

 狼狽えるオーク。

 その空きを逃すはずなどない。

 紅く写る瞳で追撃を行う。

 美しいほどの手本に近い形を取り不屈の魔剣で逆袈裟切りを行う。

 

 そして、最後にククリナイフで胸を突き刺す。

 力が抜けるオークの死体。

 周りを見渡す。

 黒い双眸に写るは未だに押し寄せるオークの姿。

 救援に向かおうかと一瞬悩むもその考えは捨てる。

 

 苦戦している様子はない。

 ならば、わざわざ手を貸さなくともいいと思ったからだ。

 勘違いしてはいけない。

 福幸はたしかに強い。

 何せ、オークを一人で倒せるのだから。

 だが、その程度のことができる人物など無数に存在する。

 誇れることなどではない。

 今更、向かうよりかは福幸のいるこの柵の周辺を警戒したほうがいいだろう。

 

 実際、それが正解だった。

 

 軽く柵があるとはいえそこまで高くもないものだ。

 そして、奥から木の枝が折れる音が聞こえる。

 

 (当たりか。嫌な当たりだな。)

 

 苦笑しつつ、そっと魔力を練る。

 通常の魔法は魔力を練る必要はない。

 だが威力を上げるときは練り上げたほうが良いというだけのこと。

 

「森や家も近いし火属性は年のために辞めておこう。となれば風か、水との複合の爆発……、水もありかもだけど……」

 

 周りを見て水場がないことを確認すると即座にその選択肢を切り捨てる。

 

「ありえないな。威力減衰が良くない。となれば実質二択。いや、土もありか。あー、やっぱなし。魔力消費とコストに見合わねぇ。」

 

 魔力が練り上がり魔法に変換すれば十分な火力となる状態になった。

 

「面倒くせぇ。風で行くか。」

 

 そう言うと、息を吸い込む。

 同時にオークも福幸の存在に気づいたようだ。

 こちらへ走ってくる。

 

「遍く風よ今一度、我に力を貸し給う。【サイクロン・ショット】」

 

 ククリナイフを銃のように構えオークたちに突きつける。

 そして、魔法を発動する。

 緑色に薄く光る風が合計8つの回転する弾丸のようになりオークの脳天を吹き飛ばす。

 

「うげ……。」

 

 青い顔をする。

 なにせ、脳髄がそこらに転がっていたりするのだ。

 

「多少グロ耐性ついたと思ったんだけどなぁ。」

 

 少し諦めたように言い念の為首を軽くきる。

 気管を血で塞いでおけば大抵の生物は死ぬと剣姫のところで教わったからだ。

 念の為そこまでしたらもう一度あたりを見渡し軽くため息をつく。

 

「だりぃ……。やっぱ錬成術使いたくねぇ……。」

 

 魔力が少なくなり全身に怠さが掛かり軽く目眩まで出て来た。

 少し、休憩とばかりに地べたに座る。

 

「オーク共が来ませんように……と。」

 

 そうだけ言うと目をつむり耳を研ぎ澄ませる。

 そしてしばらく休憩した。

錬成術の意味は魔力を練り成すということです。

錬金ではないです。

間違えないでください

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