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25 予想以上

「我らが来た!! 案ずることはない!! 今すぐ、オーク共を討伐してみせよう!!」

 

 そういうのは舞台に上がった領主だ。

 周りには、街から来た人達と村人がいる。

 

「ギルドと連携しこれだけの人員を派遣した!! 我らの勝利は目前だ!!」

「「「おぉー!!」」」

 

 村人は安堵の、戦士たちは鬨の声を上げる。

 そして、しばらく演説があったあと領主は舞台を降りた。

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「おい小僧!! 剣は研いでいるか!!」

 

 福幸にそう問いかける声があった。

 

「え、いや、あの」

「戦う準備はできてるかって意味よ。」

 

 そう言われ、理解する。

 

 (この世界の言いまわしかな? いや、元の世界にもあったのかもしれないけど)

 

 そう思い、最適と思われる言葉を口にする。

 

「当然だ!!」

 

 そう言い返す、福幸。

 質問を投げかけた人はニヤリ、と笑い続きを口にする。

 

「俺たち、冒険者はの行く先はぁ!!」

「「未知なる夢!!」」

 

 周りの人たちが一斉に返し拳を天へ突き上げる。

 全員が、爽やかなそして豪快な笑顔をその顔に浮かべている。

 老若男女、全員がだ。

 周りを見渡す福幸。

 そして、同じように福幸も笑う。

 そして周りに合わせて拳を突き上げる。

 

「さぁ、行くぞ!!」

「「おぉぉぉぉおおお!!」」

 

 福幸も同じように声を上げる。

 叫ぶ。

 周りの空気が一体とかし一つの生き物のようにうねりを上げる。

 進む先は見えている。

 森へと、福幸たちは歩み始めた。

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「この辺りだ。」

「でしょうね。まだ、足跡があります。恐らく複数体のオークに襲われて逃げた足跡……やはり、君の証言は正しかった。」

「嘘を吐いても意味なんてないからな。」

「でしょうね…… はぁ。嘘であればよかったのに。」

 

 そうつぶやくは、福幸の隣りにいる騎士。

 村へきたはいいものの、奇襲を仕掛けるというのであれば闇雲に探索するのは悪手なのは考えるまでもないことだ。

 領主が、福幸を雇った最大の理由はオークの集落の位置をある程度把握しているという一点に尽きる。

 さらに言えば、規模なども多少は把握しているという部分も加味したのだろう。

 福幸もそれを理解しており値段に見合う、もしくは見合う以上の仕事をせんと記憶を掘り返す。

 

「ではこの先に……」

「待てっ!!」

 

 慌てて福幸は叫ぶ。

 そして、地面を再度観察する。

 

「ここの足跡だけ周りと比べて大きくないか?」

「た、たしかに、多少大きいですね。これは……上位種?」

「一旦戻るか?」

「……、そうしましょう。村の位置を把握するのも立派な仕事ですがそれ以上に命の危険を知らせるのも我々の役目。一度戻りますか。」

 

 そう言い、踵を返す。

 

 ブヒッ?

 

 (マズっ……いっ!? )

 

 慌てて、腰のククリナイフを手に持つ。

 そして、敵影を探そうとした瞬間福幸のやや後ろにいた騎士が吹き飛ばされる。

 

「ごがぁっぁぁぁあ」

 

 吐き出される血と唾の入り混じった液体。

 思わず騎士を見てしまった福幸も対応に遅れた。

 

 ブォォォォォオオオオ!!!

 

 次に視界に写ったのは振り下ろされた棍棒。

 死ぬという恐怖で足が竦みかけ、恐怖に突き動かされたのか身体が勝手に動きオークの足を、ククリナイフで切りつけていた。

 

 ブォォォォォオオオオ!?

 

 自分より、小さい生物にやられる訳がないと侮っていたオークはその一撃に驚き、一歩後ろに下がる。

 冷静になった福幸はその動きを見て剣を抜く。

 そして、右手に持ったククリナイフを投げつける。

 そして、同時に詠唱する。

 

「炸裂せよ【バースト】」

 

 詠唱が終わるとククリナイフが一瞬赤く光り小規模の爆発が起こる。

 肥えた腹の肉が多少削ぎ落ち、そのあまりの痛さに地面に倒れ込む。

 

「これで、死にやがれぇ!!」

 

 不屈の魔剣を両手で持ち首に叩きつける。

 最初の一発で首の喉仏を切り裂き、2発目で骨まで到達する。

 三、四、五と何度も叩きつけそして、倒しきった。

 

「グッ、クソっ……」

「大丈夫ですか!?」

 

 慌てて、オークに吹き飛ばされた騎士に問いかける。

 

「い、一応……な。腰のポーションを……取ってくれないか? 腕が動かなくて……」

「こ、これですか。」

「ありがとう。」

 

 高圧的な言葉も忘れ、おっかなびっくりで容態を聞く福幸。

 軽く見たところ、肋骨数本は折れているだろう。

 だが、ポーションを飲んだ途端身体が見違えるように回復する。

 先程の状態が重傷だとすると今は軽傷といったところだろう。

 

「ふう、済まない肩を貸してくれ。」

「わ、わかりました。」

「先程までの口調はどうした? まあいい。思ったより彼奴等は身体能力が向上してるぞ……」

 

 そう言い、ながら二人はオークの死体を残し村へと戻っていった。

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