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2 龍鱗

 体の節々が痛みを訴え、昨日取った浅はかな行動を叱咤するように筋肉痛のような痛みが全身を駆け巡る。

 

「生きてる…… 生きてるよな?」

 

 あの激痛が、あった事は記憶に嫌というほど刻まれている。

 だが、今の筋肉痛は明らかに温い。

 あの激痛ほど痛くもなければ、辛くもない。

 まあ、それでも辛いものは辛いのだが……

 

 節々からくる痛みを柔軟体操で伸ばし、痛みを軽減する。

 それでも引かない痛みは無視して起き上がる。

 

「うう……

 まだ体中がいてぇ。」

 

 そう言いながら、地面を見ようとしたときに足が見え

 その後、周囲を見渡してから驚いた様に足を見る。

 

「えっ!? ちょっ!? や、痩せてる…… ?」

 

 そう、幾ら10日間サバイバルをしたとはいえ自分の足すらまともに見れない程太っていたのだ。

 そう簡単に、痩せる訳がない。

 

 だがしかし今、福幸は自分の足を見ることは愚か、体を触ればサバイバル生活でついた筋肉の硬さを実感することができるだろう。

 

 そう、あの実を食べた事により身体に付いていた余分な脂肪がエネルギーに変換されたのだ。

 

「痩せてる……

 自分の足を立って見るなんて何年ぶりだろう………。」

 

 軽い感動に浸り、それを振り払うように頭を振る。

 そして、一度ステータスを確認する。

 

 ───────────────────

 名前︙福幸 那人

 種族︙超人

 スキル

 麻痺耐性(弱)

 毒耐性(弱)

 痺耐性(弱)

 出血耐性(弱)

 目眩耐性(弱)

 火耐性(弱)

 電耐性(弱)

 寒耐性(弱)

 熱耐性(弱)

 剣術(微弱)

 自己再生(微弱)

 筋力増強(微弱)

 

 EXスキル

 実ガチャ(神)

 ───────────────────

 

「色々増えてるな……。

 えっと、とりあえず新しいのは……、自己再生と筋力増強か。

 他に新しいものは……、見かけないな。」

 

 そう呟くと、ステータスを閉じる。

 そして、部屋の隅に置いてある少し綺麗な石を拾いスキルを発動させる。

 

「さてさて、今度は何の実かな?」

 

 そう言い、手に持った実をかじる。

 そして、全身に電流が走り体が麻痺する。

 

「アバババババ!!

 で、電流かっ……」

 

 やや涙目になりながらそれでも全部食べ切り、更にもう一つ石を交換する。

 

「今度も……、いただきます!!」

 

 そう言い、またかじり始める。

 

「うげぇ、不味い…… が、不味いやつに外れはない!! …… はず……」

 

 などと、気分を紛らわせるためか言い……

 その後、物凄い頭痛に襲われる。

 

「がぁっ!! ハァハァ……

 

 ばぁっ!! ゼェゼェ……

 

 いってぇ!! クソがっ!!」

 

 そう言い、のたうち回る。

 そして、痛みが引き始め治るとアナウンスが鳴った。

 

 ──スキル︙工作(微弱)を獲得しました──

 

「えっ!?

 や、やったぁ……?

 

 ん……? もしかして……

 この剣術のときもいきなり気絶したんだよな……?

 まさか……

 スキル取得したときものすごい頭痛とかするのか?」

 

 そう考察し、もう一度石に手を伸ばそうとしたが……

 

「いや、もしこれで毒とか引いたら……

 地獄だな。

 実の形状は全部違うのに何で、効果は被ってたりするんだよ……

 はぁ。

 

 さて、どうしようか。」

 

 そう言い、考え込む。

 小さな穴の中には大量とまでは行かないがそこそこの数の石がある。

 確かに、わざわざ出る必要はない。

 だが、もし出ずに明日、明後日などに洞窟の入口にゴブリンやオーク。

 他にも、ドラゴンなどが居座っていれば通り過ぎるまでは外へ遠征に出られないのだ。

 それを考慮すれば外に出て様々なものを拾った方が良いだろう。

 

「どうしようかなぁ……

 いや、本当に。

 

 う〜ん……。

 考えても仕方ない!! 男は度胸だ!!

 それに食料となる石がなくちゃ何も食えねぇ!!

 探しに出るぞー!!」

 

 そう、小さく叫び洞窟を見る。

 

 (よし、誰もいないな。)

 

 心の中でつぶやき、安心した後洞窟の中で足音を忍ばせドラゴンの巣の方へと向かう。

 

 (レア度としては絶対こっちのほうが良いだろうな。

 まあ、見つかれば即死だろうけど。

 見つからなかったらどうてこともない…… 訳ないけど。

 

 けど、こっちの構造を見る目的で来るのも悪くはないだろうな。

 ここにいつまでも居れるわけではないだろうし。

 今回は、当たりを見るだけに止めれば問題ないだろう。)

 

 そう考えて、いつもとは反対側の穴から顔を出す。

 

 (周囲に、モンスターはいない臭いな。)

 

 それでも警戒し、いつもと同じように十分程度周囲を確認した後物陰に隠れながら進む。

 

 ドラゴンの巣となっている場所はクレーター状になっており福幸がいる場所はその端っこ。

 まるで、巣と森を分けるかのように険しく連なっている山の麓に存在するそこまで大きくもない洞窟だったのだ。

 

 (ドラゴンの巣の方は本当に来たことがなかったからどんな構造なんだ…… ? )

 

 多少の不安を、抱えつつ周囲に頃がるきれいな石を集める。

 そして、抱えて周りを警戒しつつ小さな穴の中に戻ろうとするが…… それは叶わなかった。

 

「ッッ!?」

 

 そう、洞窟の入口付近に小型のドラゴンが居たのだ。

 

(やっべぇ…… どうする俺? )

 

 小型のドラゴンの大きさは洞窟に潜れる程度の大きさ。

 下手に戻ろうとしたならば確実に殺されるのは間違いない。

 

(そ、そうだ!!

 こんな時こそ、新しいスキルを使って……)

 

 そう思い、福幸は早速新しいスキルを使おうと思考し始めたが……

 

(な、なんの反応もない……

 え、えぇ?

 どうしたらいいんだよ!! )

 

 そう、スキルからはなんの反応も無く

 ただ、沈黙していた。

 

 それもそのはず、工作スキルはモノ作りの腕前を向上させるスキルであり無条件でものを作れるものでは無い。

 そのスキルが発動する訳がないのが事実だ。

 

(と、とりあえずあいつが去るまで待つか。)

 

 そう考え、岩陰に身を潜める。

 そんなことを十数分していたのか。

 小さな竜が眠り始めたのだ。

 

(う、運がいい!!

 さ、早速帰るぞ!! )

 

 そう、心の中で呟き洞窟へ入ろうとする。

 その時、光るものが見えた。

 その瞬間、竜がいるという恐怖より好奇心が勝りついそれを持ってしまう。

 

 次の瞬間、石が転がる鈍い音がなる。

 …… が、運の良い事に竜は起きなかった。

 

(ふ、ふぅ……

 危ない危ない。

 さっさと帰るか。)

 

 そう考えて、小さな洞穴に入り持った荷物を置き横になった。

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