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18 森の中での一時

「薪になりそうな乾いた木の枝と枯れ葉を集めろ」

「は、はいぃぃぃいいい!!!!」

 

 ククリナイフをチラつかせつつ脅しを実行する福幸とそれに怯え素直に従う残念騎士。

 福幸から倫理観が消え去ってるのは考えないことにしようか。

 剣姫の訓練がきつかったのだろう。

 まあ、それはいい。

 福幸は、手に持っているククリナイフを腰の鞘に納める。

 そして、身軽な状態になるとこう呟く。

 

「飯をどうしようかなぁ。」

 

 福幸一人ならば幾らでも用意できる実ガチャとはいえ、他人のいる前では使いたくはない。

 剣姫から釘を差されているとなれば尚更だ。

 故に、鼻から信用してないこの残念騎士の前で使う気は無かった。

 

「一応、基本的な食べれる野草は食べさせられたしどうにかはなるだろうけどなぁ。」

 

 少し不安げにそう言うと、森の中を探索するために武装とまでは行かないものの簡易的な準備を行う。

 今は夕暮れ、木々に隠れ日の光もかなり遮られている。

 軽く空を見上げた福幸は軽く溜息を付きつつナイフを取り出しこう呟く。

 

「本格的に暗くなる前に獲物を探すか。」

 

 そう言うと、森の中を歩き始める。

 

「ぎゃゃぁぁぁああああ!!!! 助けてぇぇぇえええええ!!!!」

 

 即座に真反対へと向かったが。

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 残念騎士が引き起こすハプニングの数々に天手古舞となり食料を見つけるどころではない状態となった福幸。

 本人は必死にやってるつもりだろうが迷惑しかかかっていない。

 改めて、街へついたらどこかに捨てようと決意する福幸。

 そんな内心に気付かないのか福幸を馬鹿にする言葉を何度か吐き、その体に新しい傷が増えたのは彼女の自業自得であろう。

 

「さて、もう夜だ。で、手元には一切食料がない。理由はわかるよなぁ?」

「すいませんでしたーー!!」

 

 右手で拳を握り指を上に向けるようにして左胸へ付け左手は背中で九十度曲げるようにし上半身を斜め45度曲げる格好で福幸へ頭を下げる。

 面白いことに、これは日本で言えば土下座に当たる謝罪の仕方なのだ。

 剣姫のところでこの話を聞いていなければ到底信じられない話だったりする。

 

「はぁ、仕方ない。無いものは仕方ないし今日は飯がないだけだからな。頑張って耐えろ。」

「はぁ!! 横暴だ!! 理不尽だ!!」

「なら、問題を起こすなよ!! この残念騎士がぁ!!」

「不可抗力でぇーす!! 仕方ないんでぇーす!!」

 

 殴りたい、この笑顔。

 全力で煽りに来てる残念騎士と遺体の処理方法を考える福幸。

 本当に、何度福幸が森の中で魔獣に似せてコイツをしたいにしようとしたのか。

 考え出すと切りが無い。

 

「はぁ、火を付けるから少し離れとけ。【ファイア】」

「了解ぃっ!! あっぶないじゃないの!!」

「知るか。」

 

 返事を聞くより先に魔法を発動する福幸。

 急に現れた炎にビビる残念騎士。

 メラメラと燃え上がる炎。

 

「これで一先ずゆっくりできるな」

「そ、そうね」

 

 ギャギャッ!!

 

「前言撤回…… はぁ。」

 

 休めると思った瞬間現れるゴブリンに思わずため息が出る福幸。

 不屈の魔剣を構えようとし残念騎士に止められる。

 

「私がやるわ」

「は? 残念騎士が?」

「ひっどいわねぇ!!」

 

 喧嘩をしているがゴブリンは待ってはくれない。

 福幸が言い返すより先に襲いかかってきた。

 数は一体。

 本能的にどちらが弱いか悟ったゴブリンは先に残念騎士を襲う。

 

「チッ、きっしょく悪いのよ!! ゴブリンはぁ!!」

 

 腰に刺している正直飾りとしか見てなかった剣を抜き奇麗な袈裟斬りを放つ。

 

「一丁上がりっ!!」

「んや、まだだぞ?」

 

 そう言うと、福幸はククリナイフの柄を持ち詠唱する。

 

「母なる大地よ、我が外敵となる者共を穿け【アース・ニードル】」

 

 直後、地面が一気に盛り上がり大きな針となってゴブリンを串刺しにする。

 

「あ、あんた。ヤバいわね。」

 

 若干引くように残念騎士は言うが気にした様子はなく地面に腰を下ろす福幸。

 今回は、ククリナイフを血で汚さず済んだことで少し気分が良いらしい。

 すぐに動けるように体制を変えつつも十分にリラックスする福幸と対象的にそわそわと落ち着きなく動く影がある。

 そう、残念騎士の事だ。

 

「どうした? そんなに忙しなく動いて。」

「落ち着いてリラックスできるわけがないでしょう!!」

「そうか? 意外とできるぞ?」

「あのねぇ!! 今日初めてあったやつとオークが集団でいる森の中で過ごしてるのよ!! 落ち着けるあんたが異常だわ!!」

「お前の話を聞くにそこまで強くなさそうだから安心してリラックスしてるんだぞ?」

「強くなさそうって。C級なのよ!! C級!! 分かってるの!? Cランクパーティーが集まってようやく討伐できる魔物なのよ!? それが複数体……考えただけでも身震いするわ!!」

 

 そう言うと、また忙しくなく辺りを見渡す。

 話半分にしか聞いていない福幸はぼーっと火を見ている。

 マイペースな二人は森の中で一晩を過ごすのであった。

実は、残念騎士が所属している騎士団はオークに挑み負けてその中で足を負傷していた彼女は森の中でゴブリンに襲われておりそこを通りがかった福幸に助けてもらったのです。

(ココ重要、テストに出ますよ〜)

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