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17 残念騎士

「だ、大丈夫ですか?」

「ひぃっ!!」

 

 後退りしながら逃げる女騎士。

 それを追いかける福幸。

 傍から見たら犯罪者が高潔な騎士を犯そうとしてるようにしか見えないだろう。

 

「安心してください!! 悪い人間じゃないから!! ボクワルイニンゲンジャナイヨ!!」

 

 謎に片言に喋る福幸。

 取り敢えず、中々に面白い状態だ。

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「と、言うわけで私達は森の中にいるのです!!」

「それで、あっさり負けてゴブリンに襲われていた、と。」

 

 一時間かニ時間ほど、先程のような状態が続きその後、本当に悪い人でないことが確認できた女騎士は謎に強気に福幸に森の中にいたことを説明する。

 

「そ、そそそそんなことないですすすす!!」

 

 (いや、説得力ねぇよ)

 

 心の中で突っ込んであげてる福幸は優しいのかどうか。

 

「まあいいか。それより森を出る方法知ってるか?」

「え、まぁ一応は……」

「なら、今すぐ出よう!!」

「無理ですよ?」

「は?」

「無理ですって、地図はありますけど方位魔具や現在位置なんかわかりませんし」

「(ちっ、使えねぇなぁ)」

「何か言いましたか?」

「いや、何も。」

 

 福幸は早速、その残念騎士の対応をどうしようか考えだした。

 

 (取り敢えず、どうしようか。街の案内は頼むけどその後はこの残念具合なら放っといたほうが良さそうな気がするな)

 

「よし、地図よこせ。」

「えっ、なぜ?」

「いいから寄越せっての」

 

 そう言って、手を差し出すと胸のところから地図を取り出す。

 いや、こういう書き方をすれば語弊があるだろう。

 鎧の胸の隙間を埋めるようにしていた地図を取り出す。

 そう、この女騎士貧ny……ゲフンゲフン。

 胸が大変慎ましいのだ。

 

「ああ、隙間開いてるのか。」

「貧乳ゆうな!!」

「言ってねぇよ!!」

 

 思わず、言い返す福幸。

 涙目になる女騎士。

 しばらく暴れたあと、落ち着いて地図を広げる。

 

「え、マジでこれが地図なの?」

「マジ?」

「ああ、本当にとかそういう意味だよ。」

 

 地図を広げて見たものは本当にひどいものだった。

 色など塗っておらず、大体の線で示されている落書きにしか見えないものが地図だったのだ。

 場所によって一部文字で注釈が発生していたりもするが福幸はそれも読めないためより謎を加速させる。

 

「ごめん、軽く説明を頼む。」

「えっ、あ、庶民は地図なんて見たこともないんですね〜、ぷぷぷぷ〜」

 

 さっと、首にククリナイフの刃を当てる福幸。

 自慢げな顔が次の瞬間、涙目になる女騎士。

 ある意味とても面白い二人組と言えよう。

 

「取り敢えず、お前はどのルートでここまで来たか教えてくれないか?」

「はい、わ、分かりましたから!! その変な形のナイフを退けてください!!」

「行動次第だな。場合によっては首が飛ぶと思え。」

「ひぃい!!」

 

 悲鳴が木霊する。

 鳥が数羽飛んでゆく。

 

「せ、説明しますよ!! え、えっとここのアプラマイエアの砦町があるじゃないですか。」

「これ、街なの?」

「街ですよ!! 失敬な!! 文字が読めないんですか!!」

「あ、これ文字なのね。まあいいから続けて続けて。」

「ぷぷp、なんでもないからその刃をチラつかせないでーー!!」

「はいはい続けろ。」

 

 脅す福幸と脅される残念騎士。

 中々に腹にくるものがある。

 主に腹筋に。

 

「ま、まぁ落ち着きましょうよ。ほら、深呼吸でもして」

「それより説明がほしいなぁ〜?」

「ひぃっ!! 分かりました分かりましたからぁ!!」

「んじゃ、頼む」

「この、アプラマイエアから西に向かってシュライ村を通ってこの森に来たんです。」

「じゃあ、俺達がそのアプラマイエア? に行くにはまずシュライ村に向かわなくちゃならないんだな。」

「そういうことになりますね、水とか持ってます?」

「いや、無いな」

「えぇぇ〜、さっきから叫びすぎて喉が乾いたんですけど〜」

「黙ってたら、喉は乾かないと思うぞ。」

 

 そう言うと、福幸は空を見上げる。

 木々の葉で見えづらいが日が傾いている。

 

「もうそろそろ夜か。」

「ですね〜、どうします?」

「ここで野宿するか一晩中歩き回るか。どっちがいい?」

「そんなの答えは決まってるじゃないですか!!」

 

 そう、答えは一つだけ

 

「歩き回るに決まってますよ!!」

「ハァ。」

 

 こんなところまで残念騎士とは本当に呆れる。

 一晩中歩き回り森を出れなければどうするつもり

 かこの残念騎士は考えてすら居ないのだろう。

 

「ここで、野宿に決まってるだろバカ。分かったか?」

「は? あなたこそ馬鹿なんじゃないd、ひいっ!! なんにもありませんよぉぉおお!!」

 

 こんなふうに、残念騎士との夜が始まった。

書きたかった!!残念騎士を!!

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